2011年11月12日土曜日

#24 西からの使者

昨日の小雨が嘘のように、すっきり快晴、しかも暖かい!

8時半に起床するが、どうも寝不足なのか、頭が少し痛い。
ご飯を食べてロビーに行くと、今日は結婚式があるようだ。あわただしく人が出入りする。
鯛のチェーンソー・アートが。もちろん杣遊会作。
今日は、25年ぶりに違う床屋さんに行く。小学生以来通っている四日市の床屋さんで、見ず知らずの土地で、どのように刈ってくれと頼めばいいのかアドバイスを受けていたので、大丈夫なはずだが、内心ビビッている。

ベースキャンプの斜め前にある「好」と書いて「たか」と読む床屋に行く。
先客が散髪中で、ソファに座りながらしばらく待つ。老母が続いて来店する。
順番が来て、こうやって刈ってほしいと頼むが、いつもはほっておいても希望の髪型になっているのだが、横はこうして、てっぺんはこうしてといろいろ細かく依頼しなければならない。

老母が、店員さんとしゃべっているが、半分くらいしか内容が理解できず、店員さんに通訳を頼む。
山に生えているイモが、糖尿病に効くらしく、ジャガイモのような味で、何らかの味付けが必要と話されていた。

「もみあげはどうしますか?」と尋ねられ、正直困った・・・普段全く気にしていないからだ。
「適当にやっちゃってください」とお願いする。

耳かきもしてもらい、おまけに肩のマッサージまで!おかげで頭痛がなくなった。
ちなみにこの店は2軒続きになっており、隣の野菜直売所にはドア一枚開ければアクセス可能というユニークなお店である。ちなみに顔そり込みで3,000円とリーズナブル。

今日は三重からN先輩が来訪するので、釜石線の宮守駅まで迎えに行く。
ベースキャンプからはおよそ30km。列車到着から少し遅れて到着する
「上着なんかおいてこればよかった!」と言わしめるほど、今日は陽気がいい。
宮守駅の営業は12:30でおしまい
宮守駅に設定したのは、以前見た「めがね橋」のディテールを確認するためである。
橋のたもとにある道の駅併設のレストラン「銀河亭」に行く。
名物っぽいメニューを無視し、「鍋焼きラーメン」を注文する。
ちくわとざっくり切ったネギがきりたんぽ風
道の駅「mm1」は非常にユニークで、スーパーやクリーニング店が併設されている。スーパーでこの地方でしか見かけないようなアイテムを物色し、とりあえずおやつ代わりの南部せんべいを買う。
野菜売り場では、天然もののエノキが売っていたが、私の知っている白くて細長いものとは違い、黄土色で傘がデカい!

引続き、念願の橋のディテールをチェックする。橋梁はコストがかかるため、おおむね直線になっているものだが、ここは緩やかにカーブを描いている。コンクリート製だがやわらかい造形は、宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」を彷彿させる。読んだことないけど・・・
SLが走れば、ものすごく絵になるんだけど
遠野市街経由で住田に向かおうと思ったが、ずっと遅い車につかまってしまい。カーナビで最短ルートを示した林道を走る。ひどい道を想定していたが、かなりきれいな道で、東北の秋を満喫しながら疾走する。

住田では、仮設住宅の管理をされているKさんにお願いしていた、中上団地を見学する。
屋根には太陽光の温水器
63棟、およそ170名の方が生活される中上団地。近隣の大船渡や陸前高田、大槌の方がお住まいである。
仮設住宅は連結しているタイプが多いが、ここは一戸建てで、隣の音を気にすることがないというメリットが。
壁がないので、アコーディオンカーテンが。
材料はすべて地元産材(気仙杉)で、木目がとても美しい。しかも、中に入るとふわっとスギの香りが!
柱などの構造材には地元で製造した集成材を利用し、壁は、断熱材をサンドイッチにした構造。
そして、暖房はペレットストーブ。しかも、型番は「311 SUMITA」
床も木なので、肌触りがとてもよく、はだしで生活したくなる。
部材は工場で加工し、組み立ての多くを地元の建設業者が行った。
Kさんからは、補助など金銭面の話や、法的な問題、四川大地震がきっかけで開発機運が高まったなど、いくつかお話を伺った。
しかし、住環境としては圧倒的にプレハブの仮設住宅より優れており、この取り組みが全国に広がるといいなと思った。もちろん、仮設住宅が必要にならないことが一番いいのだが・・・

住田町では、第3セクターの住宅メーカーやプレカット工場さらには森林組合などが連携し、オールインワンでくみ上げることができる。
地元産材の仮設住宅、究極の「林業と防災のコラボ」だが、まだ具体的に自分の仕事との連携がイメージできていない。たくさんのプレーヤーに呼びかけないと難しい・・・

一旦ベースキャンプに戻り、N先輩のチェックインを済ませようとしたところ、予約が入っていない!
が、空き部屋があったので、なんとか滑り込む。

N先輩の希望で、五葉温泉に向かうが、ちょうどボランティア団体の方がバス3台で訪問され、風呂は人がいっぱい!きびソフトをたべ、盛の街へ繰り出す。

知人から様子を探るように頼まれていた「あらき」は、残念なことに予約で9時までいっぱい。昨日に引き続き養老の滝に落ち着こうと思うが、それもシャクなので、ガソリンスタンドで給油ついでに聞いた、「hana美」に向かう。

市役所から徒歩1分ぐらいのお店は、大船渡らしく(?)ないおしゃれな感じ。
経営者いわく、「ダイニング・バーとか言ってるけど、居酒屋だっちゃ」と謙遜される。
もともと、大船渡駅近くでスナックを経営していたが、津波で店が「カウンター」を残してすべて流出し、知人から店がなくなっていると連絡があった時、「なくなっているの意味が分からない」と言ったそうだ。

どこに行ってもそうだが、お客さんの話題もどうしても津波のことになる。隣の席の男性も、子供の身を案じたことや、行動の順序を間違えていたら死んでいたなど、生々しい話が飛び出した。もちろん、経営者からも。
ここでは、まだ震災は「今」の出来事である。

松任谷由美似の経営者のトークに引き込まれ、気が付いたら22時を回っていた。もう半分以上寝ている。
代行を頼んで、ベースキャンプに戻る。