2014年5月31日土曜日

#491 Crossover Kesennuma Vol.12 -mountain high-

夏を思わせるような陽気で、8時台で既に部屋の中が暑くなってきていた。おもむろに起床し、洗濯物を片付けてから、3号機で出発する。ライダーズジャケットの下はTシャツにしたが、それでも暑い。既に時間は10時半、やや出遅れたか…

ひとまず裏道を通り、本吉側から徳仙丈山へアタックすることに。気仙沼側とは異なり、駐車場まで舗装されているのが良い。絶好の日和だからなのか、結構な台数が止まっていた。

ここから徒歩で山頂を目指すことに。整備はされているものの、いかにも山道な登山道を歩く。途中、のんびりコースと尾根道の分岐点がある。迷わず前者を進む。
 20分ほど歩いたか、山頂手前にある「お祭り広場」というところに着いた。木陰で敷物をひいて沢山の観光客が休んでいた。売店に立ち寄りたい気持ちを抑え、山頂を目指す。
スパイク付きの地下足袋で来た方がよかったのでは?と思うような、一直線の登山道を登りきると、絶景が広がっていた。
小泉海岸方面
山頂にあるオブジェ「双璧の門」
黒いところに「徳仙丈山」と書いてある
ミヤマキリシマ(かどうか不明)
室根山方面
気仙沼市街と大島
三角点。標高は711m
最近全くと言っていいほど運動をしていないので、かなり汗ばんでしまった。お祭り広場に戻り、焼きおにぎりを買い求める。
うまい
すると、売店のおばちゃんが「お茶っこさのむべ」と、熱いお茶を入れてくれた。そして、自分が作った筍の煮物や漬物、栗を分けてくださった。田舎のオフクロの味、どれも美味しかった。

行きと違う道で戻ろうと、尾根道を辿ることに。アップダウンが激しく、景色も思ったほどよくない。しかも、最後は「うかい路」でさえ急坂で、その横にはロープが這わせてある急斜面が。こちらのルートで来ていたら心が折れていた。

最高の陽気なので、馬籠から南三陸町入谷へ。以前も訪れた桵場の集落は、ほとんど田植えが終わっていた。
田植え未了の田んぼには、オタマジャクシがいっぱい
せっかくなので、走ったことのない道を走ろうと、弥惣峠を越えて登米市東和町へ。
マイルドな峠
峠を降りて、進路を本吉へ。
クヌギ林に看板が…
本吉から裏道で気仙沼へ、そして八瀬から林道を抜けて陸前高田へ。何処も新緑が美しい。
未来商店街の整骨院で少しほぐしてもらってから、久々に市街地を通る。盛土の造成が確実に進捗していた。志津川もそうだが、完成の暁には以前の面影が全く残っていないような感じがする。
この地点の盛土高さは14.1m
見晴台から広田湾を望む
引き続きアップルロードを通り、モビリアへ。両側から津波に襲われた小友の田んぼに早苗を見かける。
2011年7月
高田の友人に誘っていただいた、「がんばっぺし☆なごや」のメンバーとの交流会にはまらせてもらうことに。
懐かしい名古屋弁などを聞きながら、モビリアにお住まいの方、名古屋のメンバーといろいろな話をした。メンバーは三重にもよく訪ねているそう。お互い、この地で出会ったことに驚く。

後片付けをしてから、少し高田の友人と話をする。いろいろな違和感が募っていて、お互いに同じような論点で話をする。表に出ない問題のこと、見えないバリアのこと…「潮時」という言葉が脳裏をよぎった。

日中とはうって変わって、冷え切った45号線を南下する。
タピック45にあった防潮堤説明看板
路側の温度計は15℃。激しすぎる気温の上がり下がり、風邪をひかないように注意しよう。
気仙沼港で見かけた巻き網漁船

2014年5月30日金曜日

#490 別れと出会い

今日も天気が良く、暖かい朝を迎える。西日本では30℃オーバーの予想だったが、気仙沼の予想最高気温は23℃。とても快適な気候である。いつものように準備して、いつものように出勤する。

来週月曜から迎える2人のメンバーのために、座席の確保を行う。当初は軽微な作業で済むと思われていたが、徐々にエスカレートし、大掃除まではいかないまでも、中掃除くらいの作業になってしまう。おかげで、執務室だけでなく、製図室と呼ばれるミーティングルームまでもが、見違えるほどきれいになった。
一つ目の設計書がほぼ完成する。二つ目の設計書はほぼ同じ内容なので、さほど造作はなかった。
今日で本当にお別れとなるI主事と、少し話をした。民間企業の視点から見た宮城県、三重県から見た宮城県、それぞれに思いがあり、時折お互いに愚痴ったりもしていた。
今所属している組織では、外部から沢山やってくる人々の意見を、今後の組織運営に反映させるという考えはどうやらない。せっかくのチャンスだとは思うのだが...

辞令交付が行われ、皆でI主事を見送る。次に気仙沼に来た時は、もうこの建物もないだろう。
入れ替わりで、月曜から勤務となるH主事が訪問される。明朗快活な方で、また職場が活性化しそうな予感がした。

業務終了後、3号機で千厩へと向かう。先日訪ねてくれたK君の荒廃であるS氏と合流する。ITというツールを利用して地域を盛り上げようと試みるS氏と、いろいろな話で盛り上がる。気仙沼のこと、行政のこと、東北の未来のこと…熱心な若手の存在が、千厩の未来を明るくしている。
クラシカルな晩御飯
284号線を気仙沼へと戻る。夜でもあまり寒くない。夏は目の前に来ている。

帰宅後、NHKスペシャルを視聴する。防潮堤建設について、様々な視点からまとめられた番組だった。その中で、費用対効果の話が出た。復旧事業がこの視点で語られてしまうと、新しい街を創っていくことはほぼ不可能なのではと思う。もちろん、コスト意識は十分に持ったうえでの話だが。

反面、これからの施設整備は、更に厳しい視点で考えなければならない時代が来るような気がする。保全対象をいつまで守り続けなければならないのか、保全対象の存続期間のみ効果を発揮する施設整備でいいのではないか、また、保全対象が消滅したら施設は廃止、放棄することになるのか…悩みは尽きない。

2014年5月29日木曜日

#489 もどかしさ

最近、変な時間に目が覚めることもなく、ゆっくりと朝を迎えることが出来ている。三陸新報に目を通し、いつものように準備して、いつものように出勤する。

下ごしらえが終わったので、いよいよ設計書の作成に取り掛かる。三重ではシステムを利用することで30分もあれば終わった作業が、ここではエクセルという手作業で行わなければならず、倍どころか10倍近くの時間が掛ってしまう。おかげで歩掛りの細かなところまで知ることが出来るので、ありがたいと言えばありがたいのだが、今はそれをやっている場合ではなかろう。

今の自分には、改善を要求することぐらいしかできず、大変もどかしい。エクセルの中にふさわしい関数をめり込ませて、ミスを減らすことで我慢するしかなかった。
昼休み、先日来ちょくちょく話をする、山形から来ているT氏と談笑する。山形にはまさに「酷」道の代表格ともいえる、未舗装の458号線がある。T氏には初耳だったようで、近日中のアタックを宣言しておく。

作成した設計書のチェックを行う。やはりというか、案の定というか、入力ミスが発生していた。手作業であるがゆえに発生するこのような事態は、無駄以外何物でもない。

N技師から、林道を管理するためにカシミール3Dというソフトをインストールしてほしいと頼まれる。何も難しいことはないので、自分でやってもらうことに。治山のレギュレーションを熟知しているN技師も、この手の分野はあまり得意ではない。
「ここに林班図を乗せたいなぁ。」と発言がある。宮城の森林GISもSISを使っているので、何とかなりそうな感じがする。今度試してみるか...
ふと、森林GISの方向性が見えてきた。地籍調査、LP、持ち運び、容易なデータの出し入れ…

業務終了後、大型ショッピングセンターでクリーニング店に行くと、「水上さんですね、シャツはたたみですよね!」と。何回か訪ねているうちに顔を覚えてもらったようだ。そして、半額の寿司を買い込んで帰宅する。

今日も、カントクから郵便が届いていた。最近D1にハマっているので、関連グッズがぎっしり!五月雨で送ってくれるのも、またカントクらしい。

2014年5月28日水曜日

#488 疑問

昨日とは違って晴れ間が見える。最近、洗濯機のタイマー機能を覚えたので、洗っておいた洗濯物を外に干す。そして、いつものように出勤する。今日は暑くなりそうなので、上着の下は半袖のポロシャツで出向くことに。

昨日から作業を行っていた、三重から送ってもらったCADのインストールがうまくいかない。2種類あるうちの一つは正常に起動するのだが、もう一つはメッセージが表示されて前に進めない。そのメッセージの対処方法を実践しても、「必要ない」と出てくる。手を変え品を変え、インストール、再インストールを繰り返してみるも、前に進めなくなる。
この疑問を解決する術を出し尽くしたので、ベンダーに問い合わせると、手持ちのドングルではもう一つのCADを動かすことが出来ないと告げられる…

それでも、一つのCADは正常に動作するので、これで強力に生産性が上がる。さっそく図面の修正作業を行うが、自分の思い通りに動くので、それだけで気分が晴れやかになる。
午後も引き続き内業を進める。

ふと、回覧が机上に置かれていたので中を見ると、中堅職員対象の研修の案内だった。事前レポートが要求されているので、どんなものなのか見てみたら、なんと2か月の長期研修。研修自体は行うべきものだし、中身も即使えそうななものではないにしても、行政職員としては魅力的なものだった。
しかし、他県からの職員派遣を要請し、かつ不足する人材を補うために任期付き職員の募集を行っている今、その研修を行うべきか考えると、疑問に思わざるを得なかった。2年後、はたまた5年後にその研修を受講できるようにしておけば良いだけの話で、なぜ今なのか、明確な答えを見つけることは出来なかった。
そういえば、以前はJICAの海外派遣の照会文が来ていた。申し訳ないが、今は他国よりも宮城のことが大事だろう。

業務終了後、久々にまるきへ。駐車場にはいつの間にか製麺小屋が出来ていた。
岩井崎の塩を使った「潮見そば」 今日のラスト!
最近とても精力的な店主と、福島に行ってきたことなど話をした。

ベースキャンプへ戻り、ほどなく郵便局の方が荷物を届けてくれた。いつも支援物資を送ってくれるカントクからだった。
クオリティの高い贈り物は、パッケージから楽しまなければならない。笑いすぎで、隣の部屋に聞こえていないかどうか心配だ…

2014年5月27日火曜日

#487 奇跡のカムバック

サメのようにずっと動き続けているような気がする。ゆえに、あまり疲れが癒されていない。久しぶりに、いつものように準備して、いつものように出勤する。

職場で5日間のカムバックを果たしたI主事と再会を喜ぶ。お願いしたいことがあったこのタイミングでの復帰は、奇跡としか言いようがない。ツーカーで仕事をお願いすることに。

先週、総動員で仙台に向かっていた隙に、Hという施工予定箇所に係る重大な打合せが行われていたようだ。土木事務所のY氏がその旨伝えに来てくれて、打合せを行う。こちらの設計内容に大きく影響するので、図面の作成をお願いする。

矢継ぎ早に、南三陸町役場のT氏から電話が入る。いつの間にかY氏が持っていたボールがこちらに来てしまったようで、関西的にかなり強引に押し込まれそうになるが、一つは即答できないと、そしてもう一つはこちらでは対応困難と伝える。
非ライブカメラA
残調のために保留していた作業をスタートさせる。H主任主査から資料を借用し、作業を進めようとすると、N技師から「それだから、○○になっちゃうんですよ~!」と突っ込まれる。吟味している時間は惜しいが、彼のいうことももっともだ。宮城流で作業を進めることに。

業務終了後、髪があまりにもモサモサだったので、気仙沼の母の元を訪ねようとするが、電話に出ない…しばし時間をおいて掛けなおすと出てくれたので、ダッシュで向かう。

本来なら6時までなのだが、無理やり残業を強いてしまう。ここ数日の出来事など、いろいろ話す。徳仙丈がどうやら見ごろになったようで、アタックするように勧められる。そして、一人暮らししていると入院などしてしまったら困るなどと話をしていると、「私がいってやっから(笑)」と。身近に頼れる人がいてくれるのはありがたい。

散髪を終え、大型ショッピングセンターに出向く。とてもジャンキーなものが食べたくなり、ケンタッキー・フライド・チキンを買ってしまった…

2014年5月26日月曜日

#486 夢の街

久々に、平日の休みをもらう。7時台に起床し、今日のスケジュールを全うしようと思うが、無線LAN環境でやっておきたいことがなかなか終わらず、出発時間が後にずれてしまう。予定を組み替えて、まずは近傍にあるイオンシネマ福島へ。昨日と違ってやや肌寒く、Tシャツでの活動は困難だった。

月曜の朝にも関わらず、子どもたちが沢山来ている。おそらく運動会の代休なのだろうか、チケット売り場には列ができていた。
林業職員ならば見逃すわけにはいかない、三重を舞台にした映画「WOOD JOB!」を観ることに原作の三浦しをん著「神去なあなあ日常」を読んでいるので、ストーリーはわかっていたが、映画用にアレンジされているところもあって、それもまた良い。懐かしい三重大演習林が出てきて、思わず声を上げそうになった。

2時間の充実した時間を過ごし、続いて福島県庁へ。
物々しい
丁度昼で、I君から教えてもらっていた福島県庁のトリビアを目の当たりにする。滞在時間はわずか、足早に福島駅に向かう。
ここから、福島交通飯坂線に乗る。機会があれば地方中小私鉄やJRのローカル線に乗るようにしている。まだ大丈夫だとは思うが、いつか突然終わりを迎えるかもしれないので…
市街地をのんびりと走り、およそ9㎞、20分強の旅を終えて飯坂温泉駅へ。思ったよりお客さんが多く、この鉄道の安泰を確信する。
昼食と温泉という、2つのミッションをこなすために、まずは駅前の観光案内所へ。円盤餃子について尋ねるが、一人では食べきれそうにない。あきらめて最寄りの中華料理屋「万来」で焼きそばと餃子を食べる。

既にこの時点で、制限時間を迎えてしまった。徒歩1分の温泉に入ることも叶わず、タクシーで伊達駅へと向かう。
ここから普通列車を乗り継いで、柳津へ向かう。長い椅子の列車で一眠り。
小牛田から前谷地までは、マンガッタンライナー
陸前柳津までは、高校生が沢山乗り合わせていたが、ここからBRTに乗り継いだのは、自分のほか1名だけだった。南三陸に入ると路面がぬれており、雨が降ったようだった。

ベイサイドアリーナで下車する。18時半から開演の「志津川市街地グランドデザイン報告会」に向かう人の波が出来ている。もちろん、多数の町職員も。そして、K氏と合流。

志津川の早期街びらきエリアとされる八幡川左岸について、東京大学の隈教授にそのデザインが託されていた。今回はそのお披露目の場となっている。マスメディアも沢山取材に訪れていた。
ほぼ満席
隈先生
 デザインのコンセプトは「襞(ひだ)」のある街で、防災的な観点も当然充実させつつ、一体性、回遊性、親水性を持たせ、賑わいを生み出すことを目的としている。海が眺められることなど、志津川の持つ魅力を活かす仕掛けがふんだんにちりばめられていた。

観光・交流ゾーンから海に向かって「しおさい通り」が貫いており、海に面する防潮堤、河川堤防、しおさい通りが交差する場所には大屋根を持つ広場が配置されている。そして、夜の街もきちんと配置されているのには驚いた。それも街の重要なエレメント。
平面
おかげ横丁にインスパイアされた観光・交流ゾーン
防潮堤の視覚的インパクトを提言する緑化の手法
親水性を有する河川堤防
海側から眺める
八幡川にかかる橋は鎮魂の道の一部
さんさん商店街からしおさい通りへ。シームレスに移行できれば、南三陸は観光地として飛躍の時を迎えそうだ。しかし、仏を作って魂入れずな状況になる可能性もある。財源も含めて、まだまだ解決しなければならない課題はたくさんあると思うが、夢の街をいつか訪ねる日が来ることを楽しみにしている。
小雨のそぼ降る中、K氏の愛車に乗せてもらい気仙沼へと戻る。自分は何度も往復しているので目をつむっていても走れそうだが、夜+霧という環境だと、K氏は少し戸惑っているようだった。

時間が遅く、開いている店もないので、ベースキャンプ近くのファミレスで晩御飯を食べる。K氏はここ2か月で4キロ太ったと言っていた。幸い自分はほとんど変わっていないはず…

久々にわが家へ戻る。散らかった部屋を見ると、少しブルーになった。