2014年4月30日水曜日

#460 作戦練り直し

天候が崩れると天気予報では言っていたが、幸いにも雨はほとんど降っていなかった。帰りのことを考えると、歩いて行った方がよさそうだ。

一時帰県していたK氏も無事に出勤しており、月曜とは違った賑やかな職場になっていた。しかし、あまりプライベートな話が出ないのは不思議である。これが宮城らしさなんだろう。
昨日、少し仕事を進めておいたので、5月中旬のビッグイベントに向けて、また別の資料作成に臨む。東京からのリクエストではあるのだが、いったい誰がこれを求めているのか正直理解に苦しむ。尋常ではなく手間がかかるため、なかなか前に進めなかった。

いつものように郵便屋さんがやってきて、その中に見覚えのある封筒があった。O先輩から送ってもらったCADソフトだった。アプリケーションのCDとドングルが入っており、このおかげで生産性が100倍くらい上がりそうだ。
午後も午前に引き続きの作業を進め、14時からH主任主査、K氏、N技師と別室で打合せをする。設計書の内容を突き合わせ、細かな部分の整合を取る。決められたレギュレーションの元に作成を進めているはずだが、細部が詰まっていないために、それぞれの考え方が出てしまう。出ていいところとはどんどん出せばいいが、この資料に関しては一律が望ましい。石巻の資料も入手し、同時に突合せを行う。

ミーティングの結果を石巻に反映し、手元の書類の修正を始める。複数の書類を同時に修正しなければならないのが面倒。この種類の書類作成は、もう宮城では二度と、までは言わないものの、これから先ほとんど作られることはないだろう。

K氏に明日チェックをしてもらう分は完成。誰もいなくなった職場を後にする。
コンビニで夕食を買い求め、食事を終えるころには日が変わりそうな時間になっていた。このペースだと、楽しいはずのGWを自分の思惑通りに過ごすことが出来なさそうだ。作戦を大きく変える必要がありそうだ。

今日で4月も終わり。1日が50時間あれば、4月が100日くらいまであればと、無駄なことを考える。

2014年4月29日火曜日

#459 Crossover Kesennuma Vol.10 -三陸第三の街-

薄曇りのひんやりとした朝を迎える。カード紛失事件のこともあり、9時ごろには起床する。諸々準備をして、1号機で出発する。

まず、大型ショッピングセンターへ。カードをいつどこで紛失したかは知っているので、まず文具売り場へ。引き継ぎのメモも残っていないとのことで、サービスカウンターへ案内される。
サービスカウンターの担当氏が提示した拾得物の中に、見覚えのあるカードが入っていた。身分証明書を提示し、拾得物台帳に署名をする。そこには、文具レジの担当氏の名前も書かれていた。
カードを忘れた自分が一番悪いのだが、昨日問い合わせた時点で「ない」と回答されたことにはいささか疑問が残る。念のため、カードの利用停止をしておかなくてよかったと胸をなでおろす。

フードコートでたこ焼きを買い求め、市立総合体育館「ケー・ウェーブ」へ。
大相撲力士会が寄贈した土俵も、間もなく完成を見る。
とても立派!
たこ焼きを食べてから、駐車場の片隅にある階段を上って、リアス・アーク美術館へ。小路は春らしさ満点だった。
絵本っぽい
タンポポ
まだツクシ
リアス・アーク美術館では、「LANDSCAPE of N.E. ~東北・北海道の風景~ 第3回公募展」が開催中であり、少し鑑賞する。
建物の一角に、キャノピーと呼ぶにふさわしい展望台があり、穏やかな里山の風景が楽しめる。
目的であった、常設展の図録を買い求め、外に出る。
小路をたどって駐車場に戻る。今までに通ったことのない道を選び、合庁へ向かう。畑や田んぼで作業をする方が多く見受けられ、こういった人々の活動にも春を感じる。

ふと、なぜ気仙沼には西向きの高速道路がないのか気になった。岩手には、盛岡~宮古、花巻~釜石と二つの高速道路が建設途中である。
気仙沼は、人口では八戸、石巻に次ぎ第三の都市。宮古はともかく、釜石が選ばれたのは、計画当時の人口(約6万人)からだと推測できるが、その時点では唐桑町、本吉町合わせて10万人。一ノ関からの距離が短すぎるのか、遠野を有する釜石方面とは違い、沿線の人口が少なかったからか...

いろいろ探っていると、市町村の一人当たりの所得という項目を見つけた。何気なく全国ランキングを探してみると、上位の東京や芦屋市などは別格として、意外にも北海道の猿払村が意外すぎる位置に食い込んでいた。さらに探ってみると、漁業資源が枯渇し窮地に追い込まれていた村が、ホタテの稚貝放流+資源管理で復活を遂げ、今や人口流出さえ止まっていることが分かった。

この中で、三重大学の勝川先生のサイトに当たった。以前から資源管理の必要性を熱心に説かれている方で、気仙沼でも講演をされたことがあり、テレビでも放映された。
奥尻にも触れられており、漁業という視点から復興は失敗していると書かれていた。共感できる部分、できない部分、両方が読み取れた。

合庁では、建物全体で何名かが仕事をしているようだった。書類とパソコンと向き合うが、静かな職場でも、時間の割にあまり生産性は上がらなかった。明日以降の準備をして、合庁を後にする。

4度やってきたN先輩と合流するため、東新城にある新しいホテル、アコモインへ。その後、ベースキャンプに近い「磯や」で懇親会となる。
被災地の今のこと、これからの三重のこと、それぞれが担っている役割のこと...話が尽きることはなかった。秋にはN先輩ツアーで気仙沼に多くの方々が訪れるかと思うと、胸が高鳴る。昨年度もたくさんの方に訪ねてもらったので、今年も同じようになることを期待する。自分の時間は別途捻出することにしよう。
少し物足りないので、2次会は2ndへ。N先輩はラックにチェーンが掛けられ、ボトルが転倒しないようにしてある仕組みに興味を示していた。震災の教訓と思われるが、普段は地震がほとんど起こらない三重で、こういった文化を根付かせるのは至難の業かもしれない。気仙沼でも様々な教訓が失われてきているので、なおのことだろう。

明日のことを考え、早めにお開きにした。再会を祈念して、ベースキャンプへと戻る。

2014年4月28日月曜日

#458 閑散

ここ数日とても暖かな日が続いてるが、今日も例外ではなく、とても気持ちいい朝を迎える。いつものように準備して、いつものように出勤する。

連休の間なので、職場にはほどんど人がいなかった。自分の班は、自分一人。静かな環境で仕事がはかどるはず...

5月1日、2日に来訪するN県議から、いくつかのリクエストをお聞きする。そのリクエストに相応しい訪問先を調整することになるが、なんとか細い糸をつなぎ、コーディネートに成功する。こちらが想定していた訪問先と、N県議のイメージが一致し、なんとなく達成感を感じる。

他、地域振興部に訪問して地域のパンフレットを用意してもらう。対応してくださったO主査に、市役所は派遣職員向けに市内観光ツアーを行っているので、我々もやりましょうと伝える。自分で始めようかと思ったが、せっかくなので地振を巻き込んだ方が得だ。自分でも手伝える部分はアシストしよう。うまく実現するといいんだが...
非ライブカメラA
葉桜化し、かつ散ってきた
午後も視察時に必要な資料をまとめたり、5月中旬に予定されているビッグイベントの準備を進める。しばらくして、市役所のK氏が書類をもって登場する。いくつか情報交換をし、視察のコーディネートにご尽力いただいた、市役所の水上さんに渡してほしい書類を託す。
K氏から、「水上さんは、自分の中では、今年で3年目の土木事務所のT氏と同じ分類です(笑)」とサラッと言われるが、そこは明確に否定しておく(笑)。

業務終了後、行きつけのコンビニでATMの前に立つと、財布にあるべきカードが1枚無い。使用履歴を検索すると、前日の大型ショッピングセンターの文具売り場が最後の利用だった。急ぎ店に電話すると、非常にそっけない対応をされる。自分が最後の客なので、翌日の開店まで第3者に持ち出される可能性はないはずだが...多機能なカードのため、かなり面倒なことになる。
大船渡で紛失した時は即見つかったのだが...

水漁のT技師に誘われていた懇親会に参加するため、わやへ。坊主のS技査をはじめ、異動してしまったり、新天地で活躍されたりしている馴染みのメンバーの会だった。顔は見たことあるもの、こういう場で会うのは初対面の方もお見えだった。

メンバーは2次会へ向かったが、自分は失礼することに。家探しを敢行したが、案の定、カードは見つからなかった。

2014年4月27日日曜日

#457 KESEN Explorer -森の動物園-

昨晩あまりにも早く寝てしまったため、洗濯ものを干さずに放置してしまった。早めに起きて干し、洗いきれなかった分についても、急ぎ洗濯機を回す。
8時過ぎ、1号機でベースキャンプを出発する。昨日に引き続き春らしい陽気に恵まれている。高田を通って住田へ向かう。45号線と違って、340号線のペースが心地よい。

9時少し前に住田町社会体育館に到着する。すでに杣遊会のメンバーは集まっており、事務局のM氏から作品の写真撮影というミッションを言い渡される。
SUMTIAチェーンソーアート杣遊会主催の「森の動物園」は、山口県のカーバー林隆雄氏のリアルすぎる動物をテーマにした作品を展示し、来場者に楽しんでいただこうというイベント。
ライオン
トラ
アルパカ
ゾウ
サイ
ペンギン
プレーリードッグ
パンダ
カンガルー
ミーアキャット
リスザル
ハリネズミ
 屋外では、メンバーのデモンストレーションも行われている。
フクロウ製作中
花巻支部のメンバーの背中に注目
 ちょっと隙をみて、周囲を散策する。運動公園の看板にFSC材が使われているところが、いかにも住田らしい。
 さらに、作品紹介。
ネコ
イヌ
カピバラ
アリクイ
ゾウガメ
クマ
バク
キリン
カバ
リアルすぎる作品は、骨格まで熟知して製作されたそう。見た目だけでなく、体表の皴までも忠実に再現されてる。気の手触りも含めて、子どもたちに大人気だった。

来場者は一気に押し寄せるという感じではなかったが、三々五々見物に来てくださる。午前は70名強、午後は50名強。住田町観光協会のブログや、東海新報での告知に限られているが、それでもPR効果は高い。
16時に閉館となる。少し後片付けをして、会場を後にする。107号線を大船渡へ。

吉野町公民館でH君からはっぴを受領する。ついに、齢39にして、初めてマイ法被を手に入れる。さっそく袖を通してみる。
今日は総揃いという、本番さながらの練りが行われたようだが、生憎参加することは出来なかった。反省会が行われていたので、はまることに。祭の苦労など、いろいろ話を伺う。次は5月3日の本番、気持ちが昂る。

BBQの火を囲んでいたものの、急速に気温が下がってきたのか寒くなってきた。そして、買い物をサボってしまった結果、枯渇した日用品を補充する必要があるため、急ぎ気仙沼へ戻る。

大型ショッピングセンターで買い出しを行う。最後に忘れていたものがあったので、蛍の光が流れる中で文具売り場にダッシュする。しかし、この後に悲劇が待っていたとは想像していなかった。

2014年4月26日土曜日

#456 見せたい場所、見てほしい場所

7時半に目覚ましをセットしておいたが、起きることが出来ないのでしばしうだうだしていると、K君から準備完了とのメールが入る。待ち合わせの時間まであと30分、朝食を摂って準備をし、約束の時間にホテルのフロントへ出向く。K君はもっと時間がかかると思っていたようだが、朝食込の最速で15分で出発できる自分にとっては、朝飯前である。

絶好の天候に恵まれ、三陸の春とは思えないくらいの暖かさ。K君は昨日陸前高田を見てきたとのことなので、気仙沼と南三陸に絞って行程を組み立てる。K君のクルマのハンドルを預かり、まずは唐桑半島ビジターセンターへ。
GW初日だが、少し時間が早いためか、来場者は自分たち以外に一人だけだった。K君が津波体験館に入っている間、観光協会のKさんと雑談する。頻繁に顔を合わせているわけではないが、自分のことを覚えてくれているようだ。
K君に津波の歴史が書かれたパネルで説明したり、東日本大震災で被災した気仙沼市街の写真で場所を説明したり、にわか語り部になる。

引き続き、漁火パークへ。少し靄がかっているものの、広田半島やその先まで望むことが出来た。
そして、巨釜・半造の巨釜にある折石を見に行く。三陸はどこも絶景だが、絶景ポイントが多すぎるのか、ここもさほど賑わっておらず、むしろ波の音が騒がしかった。
唐桑半島を後にし、気仙沼市街へ。昼食まで若干時間があるので、安波山へ向かう。
レンタカーの屋上にデジイチを張り付けた車両を見かける。自分もやってみたいが、万が一を考えるとGoProにしておいた方がよさそうだ。この車両に乗ってきたメンバーが、三脚で固定したカメラを用い、1秒間隔で自動的にシャッターを切っている。聞くと、結合して動画にするとのことだった。タイムラプス撮影と後で知る。
程なく、他県ナンバーのクルマが数台連なって現れる。降りてきた人々は年齢も性別もバラバラ。こちらの三重ナンバーを見て話しかけられる。やはりというか、予想通りというか、市役所の派遣職員の一行だった。そういえば、派遣職員対象のツアーが行われていると以前新聞に載っていた。自分はほとんど自力で切り開いてきたので、少し悔しくもあるが、むしろ自分でコーディネートすべきなのかとも考えたり...メンバーの中には、同じ寮の隣の棟に住まわれる方も参加されていた。しばし、ガイダンスを傍受する。

一足先に下山し、南町紫市場のあさひ鮨へ。コストパフォーマンスの高いこの店は、よくお客さんを連れていく。定番ともいえる復興スペシャルを自分がごちそうするつもりが、ごちそうになってしまった。
まいう~
気仙沼らしいアイデムが充実するセレクトショップ(?)、青空市へ。自分はTシャツを、K氏は帆布の小物を買い求めた。
引き続き、4月に復旧、リニューアルオープンした海の市へ。これまで仮設商店街が担っていた観光拠点の役割を、今後はこの施設が担うことになりそうだ。
ブルーの外装は、やや目が痛いえんじ色に...
連絡通路から魚市場見学デッキに直結
現在は暫定オープンのため、シャークミュージアムと観光サービスセンターのみが営業しており、少し平台でお土産物を売っている。夏には飲食、物販も含めてフルオープンの予定。
エントランス
絆ゾーン。入力した文字が映像に反映。ニコ動風。
震災の記憶ゾーン
海と生きるゾーン
シャークゾーンのホオジロザメ
メガマウス好きに捧げる
プロジェクションマッピング用のジンベイザメ
シャークゾーン内部の様子
コンパクトに気仙沼のことを知るためにはいい場所だった。
K氏はもともと公共交通に関わる仕事をしていたため、 観光といった視点で施設を見定めている。ビジターセンターと言い、ここと言い、十分なポテンシャルを持っているようだ。あとはどのように活かしていくかが課題か...

当初、このまま岩井崎に向かおうと思ったが、若干時間を持て余すかもしれないので、リアスアーク美術館に向かうが、その前に大型ショッピングセンターに立ち寄り、土産物を調達する。さいとう製菓のブースで悪友Tもかもめの玉子が好きだと伝えると、季節限定のいちごをわざわざ購入していた。

天気の良さを生かすために、美術館をあきらめて、風光明媚を味わうルートへと変更する。合庁を外観から眺め、遺構の候補である気仙沼向洋高校脇を通り、岩井崎へ。海風がとても冷たく、あいにく激しい潮吹きも見られなかった。
寒さに震えながら、車内へ。一日のうちで温度が上がり下がりする三陸では、こまめな調製が求められる。

お伊勢浜を通り、45号線を南下して小泉から内陸へ。田束山へ向かおうと試みたが、不覚にも何度も道に迷う。バイクで適当に行った道をトレースすることはならなかった。
期待していた道を選ぶことが出来ず、歌津側からアプローチする。しかし、払川ダム付近で消防士さんに制止される。本吉側で山林火災が発生したようで、防災ヘリがダムで給水するために通行止めとなってしまい、やむなく引き返すことに。田束山はかなりのお勧めスポットだが、果たして誰が一番に案内されるか...

歌津の街へ引き返し、伊里前福幸商店街へ。個人的におすすめの「ポストくん」を見学し、「南」三陸鉄道の切符を買い求める。
そして、志津川へ。役場や造成工事の現場を見て、市街地へ。黄昏の防災対策庁舎、志津川駅と回る。
 高台から街を見てもらおうと、志津川中学校へ。
最後はさんさん商店街。ここでK君と分かれてBRTで気仙沼へ。本来なら見送るべきが、逆に見送ってもらうことになってしまった。
比較的多めの乗客を乗せたBRTは、途中本吉で大量の高校生が加わる。南気仙沼で下車し、直近の福幸小町にあるこけしへ。中華丼を食べて帰宅する。洗濯機を回し、ちょっとくつろいでいたらあっという間に寝てしまった。