2011年11月8日火曜日

#20 現実

昨日、NHKで冬将軍が出ていたが、やはり少し寒い。しかし、天気は最高。

いつものように儀式を済ませ、いつものように出かける。
今朝の東海新報には、大船渡市の有効求人倍率が0.51倍と書かれていた。震災直後は0.3以下になっていたことを考えると、回復したような・・・

住田から盛に向かう国道107号線と三陸自動車道が交差するたもとに、パチンコ店がある。夜はいつも駐車場いっぱいにクルマが止まっているが、今朝は開店前から男女数人が並んでいた。
三重でも、新台入れ替えなどの場合には行列を作っている姿を見かけるが、今日はその日なのだろうか・・・

市役所の駐車場には、来客用と職員用、公用車そして支援職員用のスペースがある。職員数に対して手狭なので、毎週駐車場の当番があり、該当するときは、少し離れたリアスホールの駐車場に止めることになる。一応支援者ということで、市役所の支援職員スペースに止めるが、若干申し訳なく思い・・・
今日の市役所屋上非ライブカメラは西側 盛保育園の解体が進んでいます。
午前中は、日頃市にあるタイヤの処分を行っている事業者のもとに、事業進捗に関する打合せや書類の確認、現地の保管状況調査のため、T副技監と訪問する。

今回は、通称クロパジェと呼ばれる、旧三陸町から引き継がれた4ナンバーのパジェロで向かう。車齢18年、走行距離21万キロ以上。そして、三重県北部では登録ができないディーゼル。極めつけは、なんとMT!
ボディーにはところどころ穴が開き、車内もずいぶんくたびれているが、ターボが作動しない(焼きついた?)ことを除き至って快調。

旧三陸町役場だった三陸支所は、残念なことに津波で激しく損傷した。
もしこのクルマが三陸支所の所属だったら、今こうやって、レアなディーゼルMTのパジェロの感触を味わえなかったのかと思うと、感慨深くなる。

美しい景色を眺めながら事務所に到着する。この環境がうらやましい。
代表のY氏と話をしている中で、雇用情勢や今の大船渡について話が出た。事実を確認しているわけではないので、何とも言えないところもあるが、気仙では、あまりよくない意味で、人材の流動性が高まっている。

Y氏のその語り口調や、若くして今の会社を築きあげたところから、四日市のとある建設業者の代表のことを思い出した。物の言い方のきつい人なので、得意としていない職員も多い。しかし、前々から仕事に対する熱意や、困っている人を助けようとする思いは人一倍強いと感じていた。事実、被災地に送るチェーンソーと刈り払い機を集めていると相談したら、2日後には持参してくれた。
人を、決して見かけや他人の評価だけで判断してはいけないと思う。

昼過ぎに事務所へと戻り、お弁当を食べてから午後の部に向かう。
がれきの仮置場には2種類あり、当面の間利用する仮置場と、一次的な仮々置場があり、前者の温度測定と後者の現状確認に出向く。

まずはキタニ(大船渡北2)の現場事務所に。例の船は解体が進んでいた。
仮々置場には、すでに更地になっているところや、まだがれきが置かれているところなど、いろんな状況である。
ずらっと並んでいるトンバッグ
細浦の現場で写真を撮っていたら、足元に一輪の花が。
大船渡港では、壁面に係れた英語のメッセージを見かけた。UKISARとは、United Kingdom International Search And Rescueの略。
以前よりぐっと減量したがれきの山。1回しか来ないのであれば、その差はわからないが、着実に処理は進んでいる。
画面左上に温度測定をするT副技監
そして、大船渡線のあったところは、鉄橋に残されたレール締結装置の跡を見なければ、その存在がわからなくなりかけていた。
仮々置場の確認を終え、引き続き砂子浜の仮置場の温度測定に向かう。今日はほぼ一日T副技監と行動を共にしているので、車内ではT節がさく裂していた。最近はそれがむしろ楽しみでもあるが。

日が暮れかけたころ、マイヤ大船渡インター店の前を通過する。警備員が満車の札を出していた。そういえば先日地元の方が、マイヤに夕方行くとかなり並ばされるので、朝買い物に行くとおっしゃっていた。

帰庁後、夕方のミーティングを終えてから、K係長のデジカメが発する、携帯のバイブレーターのような異音が話題になった。現場で使っていると、やはり高い確率で故障が発生する。同じカメラを使っているO道路工手も故障していた。
仕事で山に行くとき使っている、GPS内蔵で防水・耐衝撃カメラを大船渡にも持ち込んでおり、起動の速さとかが少し話題になる。そしてN主任と森林・林業ネタで盛り上がる。
N課長補佐やO主任と撤去率の話などをし、頼まれていた資料の説明をして職場を後にする。

サン・リアで半額になった寿司とおはぎ、定価のサラダを買い、ベースキャンプに戻る。
20時過ぎ、私の事を実の息子のようにかわいがってくれる、亀山のSさんからのメールに、被災地への支援物資が商店街の営業を妨げているという報道があったと書かれていた。大規模な災害では、いつも起こる問題であるが、正直なところ答えは出ない。物資やボランティアを必要としている人とそうでない人、いつもと変わらない生活を送っている人とそうでない人、すぐに生活を立て直せる人とそうでない人・・・

様々な思い、そして思惑が交錯する。何が正しくて、何が間違えているのか、判断するのは自分である。しかし、その判断を下すには、多くの情報を入手し、理解し、選別する必要がある。私はこの地ではまだ、情報を入手する段階にとどまっている。

パソコンを触っていたら、突然けたたましい音が鳴り、三重のFMで第一人者であるT氏からビデオチャットの呼び出し。T氏の操作ミスだったそうだが、久々に美声を聞けて良かった。こちらのFMの状況などをぜひ持ち帰りたい。