2014年10月23日木曜日

#636 蘇る海岸防災林Ⅱ

いつもよりかなり早めに起床し、寒い朝を迎える。今日の出張を考えると、汚れてもいいような服装で出勤する。

6時半、早朝の合庁へ。他部署の職員に既に出勤している者もいる。うーん…
T班長、K氏、N技師、途中合流のH主任主査とともに、5月に訪問した、オイスカ名取事務所へ。

オイスカと名取市海岸林再生の会は、東日本大震災で被災した名取市沿岸部の海岸防災林およそ100haの再生に取り組んでいる。取組は抵抗性クロマツをはじめとする苗木の生産、植栽、保育と多岐にわたっている。背後地に広がる田畑などの生活基盤を保全するため、地域の強い要望もあり、再生の取組が進められている。
また、両団体と県、名取市では「みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動」の協定が締結されており、その面積はおよそ90ha。

今日は治山技術研修の一環として、植栽が行われる。
各事務所からと名取市役所のメンバーが集まり、冒頭あいさつとレクチャーが行われてから、植栽を行っている場所へと移動する。
植生基盤が整備され、周囲は防風柵で覆われた場所へ。縦横に設けられた作業道は、先日来の雨で少しぬかるんでいた。
森林組合職員による模範植栽
コンテナ苗を保水材と液肥に浸し、運搬袋に入れて植栽場所へ。東西15m、南北200mと、図上では狭く思ってしまう面積も、こうやって木を植えようと思うと、相当広い。
広大な植栽地
トグワ(唐鍬)で、一本づつ丁寧に植栽する。石交じりの固い場所に当たってしまい、かなり骨が折れる。長靴では足が重いので、地下足袋に履きかえる。昔、親方に「大学では鍬の使い方、教えてくれへんでな(笑)」と言われたことを思い出す(笑)。基盤が硬いため、足で蹴りこんで植栽する道具は使用できない。
時々休憩をはさみながら、黙々と植え続ける。
上空を飛行機が通過する
←N技師 K氏→
やはり、人力は辛い
お決まりの記念撮影
植栽完了 
記念撮影
2時間ほどで、1,600本植えることが出来た。数百万本という必要本数から比べれば微々たるものだが、いずれこの地が美しい松林に覆われることを期待したい。

事業所へ戻るタイミングで、車内では防災林造成の技術面での議論となる。先行して事業が行われている現場は、何かにつけて参考になる。

昼食ののち、県苗連会長やオイスカ関係者にご講話いただくことに。
コンテナ苗
なぜクロマツが海岸林に適しているか?という講義は参考になった。耐塩性、耐寒性、防風効果...林業技師なら知っていて当然の内容である(汗
海岸に自生していたクロマツを見て、おそらく海岸林に適していると先人は考えたことだろう。宮城の海岸林を始めたのは伊達政宗公。先人は偉大である。

お世話になった事業所を後にし、海岸林でエポックとなる場所へ。
岩沼の植栽地
自分が植えた時に比べ、様相が変わっていた。
宮脇式VS海岸林学会
コメントは、大きくなってから...
行きと同じルートで、気仙沼へと戻る。既に仙台市内で真っ暗になってしまい、何も見えなくなってしまった。
前職で植林経験のあるN技師に、コンテナ苗について意見を求めた。大幅な重量増から、あまり利用できないのではないかと危惧していた。作業道の整備が進めば、山林での活用の道も拓けるかな...

帰庁後、N技師といろいろ話をする。仕事のこと、この街のこと...彼の持つ疑問に少しでも答えることが出来たら、それが先輩としての役目を果たしたことになるのかな。