2014年1月22日水曜日

#362 安全第一

招かれざる寒気が訪れてしまい、気温が低めに推移している。気温は氷点下だが、風がなく穏やか。いつものように準備して、いつものように出勤する。

先日から続いている事務処理を進めつつ、約束の時間に間に合うように歌津の施工現場に向かう。クルマの外気温計は2℃を指しているが、日差しがあるのでさほど寒さを感じない。
現場近くの作業小屋で、Iという施工予定現場に関係する漁業者の方に出会い、遅くなった年始の挨拶をする。笑顔で応えてもらう。

今日で500個目の消波ブロックが設置される。年始から潮位が低めに安定しており、波も穏やかなので作業は順調に進んでいる。このペースでゴールまで行きたいところだ。
帰路、日門食堂で昼食を摂る。最近カレー率が非常に高く、自分でも不安になってくる。
帰庁即、気仙沼市民会館にT氏とI主事とともに向かう。狭隘な駐車場は満車が予想されていたが、急造された臨時駐車場さえも満車で、普段は立ち入ることのできない魚市場屋上に誘導される。建設業者の協議会もイベントに関与しているため、適切に交通誘導員が配置されている。

会場に徒歩で向かうと、既に引き返してきている人がいる。市民会館には作業服姿の男たちで溢れており、会場の大ホールも立ち見客が出ていた。3名分の座席を無事確保するが、古い施設のためシートピッチも狭く、着ぶくれもしているためかなり窮屈だ。なんとか開始1分前に落ち着くことが出来た。
石巻と大船渡労基署の共催で「復興への架け橋・みてわかる安全セミナー」が開催される。石巻労基署長の挨拶のでは、参加者は1000名以上で、一部はお断りしたとのことだった。

そして、よく安全パトロールで顔を合わせるS氏が壇上に上がって説明する。
いつもは紺色の作業服姿だが、スーツ姿で説明されている姿を見ると印象が異なる。
震災以降、4日以上休業する労災事故の数は、工事箇所数が倍なのにもかかわらず、件数は5倍になっているとのことだった。原因としては、工事1つ1つが大規模化していること、就業者の急増なども挙げられるとのことだった。そういえば、工具一つとっても地方によって呼び方が違うことに困ったという話を聞いたことがある。それも労災事故の原因になっているかもしれない...

大船渡労基署の方の説明があったのち、地元でも有数の建設会社、小野良組の若手女性技術者による発表があった。建設現場のイメージを変革させたいとの内容だったが、はつらつとした話し方に、青年の主張を感じた。
10分のインターバルの間に、会場から一度出る。途中、大船渡市役所のS技師と偶然出会う。こういった出会いがあることに期待もしていたが、久々の再会にうれしくなる。
会場は99.5%以上が「おんつぁん(おじさんの意)」なので、男子トイレが大渋滞していた。

後半は実技を伴ったセッションとなる。最初は工具の取り扱いについて。以前と比べると工具の使用方法を正確に伝達していないがために発生する事故が多くなっているとのことだった。げんのう一つとっても、持ち方が変わるということを初めて知った。
後半は手すり先行足場と安全帯に関するものだった。ステージ奥には足場がセットされており、実際の組立が説明される。
普段よく見かける安全帯は腰に巻きつけるものだが、欧米では「フルハーネス」と呼ばれる、四点式や五点式のものが標準となっているとのこと。落下時のエネルギーを一点に集中させることがなく、身体へのダメージが少ない。自動車のシートベルトも、もはや後席でさえ2点式を見なくなっているし、レース用車両では四点式や六点式が使用されているのと同様か。
この後、コントのようなやりとりもあり、会場が笑いに包まれる。
テンポよくまとめられたセミナーは、聴講者を飽きさせることがなかった。こういった持っていき方はぜひ見習いたい。

ロビーも人でごった返していたが、従事者のコメントと共に、いくつかの工事現場の写真展示もあった。
小雪が舞い散る中、駐車場へと戻る。
鮪ハイツに掲げられた大家さんのメッセージ
魚市場の屋上は震災前は観光客の駐車場だったが、今は関係者が利用する場所になっている。当面、ここからの風景を目にすることはないだろう。
業務終了後、大型ショッピングセンターに寄ってからまるきへ。週末は暖かいが、寒さはまだ終わらないなどと話をする。今日は背脂煮干そばをチョイスする。
自分はあっさりが好みか...
帰宅後、21時54分から始まる報道ステーションを視聴する。今日はメインキャスターが宮城県庁入りし、知事と防潮堤に関する対談を行った。
感想をここで述べるつもりはないが、次に津波が来た時でも、死者をゼロにするという強い意志は、すべての人たちが持ち合わせてほしいと強く願う。そして、今に生きる人たちの決断で、未来の人たちが悲しまないように...