2014年2月22日土曜日

#393 next generation

窓から暖かな日差しが差し込む土曜日の朝。永遠に布団に吸い込まれていたいが、そうもいかない。9時前に起床し、ささっと準備をして、気仙沼の母の元へ向かう。

1か月以上放置してしまった、モサモサの頭を切る。本当にモサモサで、一秒でも早く切り落としたかったが、ようやくその願いが叶った。母といろいろな出来事についてかだる。どうやら6月には良い話があるよう。「あまり姑が婿をいじめない方がいいですよ(笑)」と忠告しておく。

既に遅刻気味だが、仕度をして1号機で出撃する。45号線を「上り」、南三陸町歌津の田ノ浦に差し掛かったころ、以前から気になっていたアンパンマンを修繕するおんつぁんを見かけ、急ぎ引き返す。

おんつぁんから話を伺い、なぜここにアンパンマンがいるかわかった。田ノ浦の集落も、ご多聞に洩れず大きく被災した。埼玉からの支援物資を受け取る際、45号線の目印がないこの場所を理解するのは至難の業。浮き球で作られたアンパンマンは看板だった。
高台にあったおんつぁんの家は被災を免れた。そのため、衣類や食料などを被災された方々に分け与えたそう。「その時の人たちから、感謝の言葉もきかないねぇ。」とポツリ。震災の記憶は、被災者の方にとっても忘却の彼方へと向かっている。

歌津の現場にチラ寄りし、久々に戸倉のオーイング菓子工房ryoへ。工事でご迷惑をおかけしていると告げ、マドレーヌなどもろもろ購入する。最近姿を見なかった安全衛生管理者代行「カンタ」も、暖かい部屋でくつろいでおり、相も変わらずベッタリとなついてきた。

戸倉の施工現場にチラ寄りし、再び45号線に戻り、三陸道経由で仙台へ。目的地である仙台市博物館に到着したころには、既に大きくディレイしていた。

W技師に案内してもらった漆に関する講演会は、後半の佳境に入っていた。東北は著名な岩手県二戸市の浄法寺をはじめ、山形でも漆の採取が行われている。どういった漆の木だと採取量が増えるのかなど、興味深い話だった。三重にも津市美杉町にその名の通り「漆」という地名があるくらいなので、生えてはいるのだろうが、ビジネスとして採取するという話は残念ながら聞いたことがない。
ミュージアムショップで「仙台四大画家」という図録を買い求め、ようやく連絡の取れたW技師と仙台のM主任主査、林試センターのW技師とともに庭園の漆の木を眺める。

ホテルでチェックインを済ませ、ひとまずヨドバシカメラでパソコンを見る。BTOの製品なのでネットで買えばいいのだが、やはり実機も見てみたい。ここにはスタッフがBTOの手続きを行ってくれる。希望の構成を伝えたところ、納期は1か月ごとのことだった。Z505、Xと使ってきたSONY最期のVAIOノートを手に入れるための時間も無くなってきたが、次の予定までの時間もなくなってきたので、ひとまず店を出る。

スマホのナビを駆使して、雪が大量に残る仙台の街を歩く。国分町にある居酒屋左五平へ。目測を誤ってしまったので、開始2分ぐらい前に滑り込みとなる。

16名の若手林業職員の「W会」が開催される。林業のボス、K次長とM主任主査と自分がゲストとしてお招きいただいた。若手職員も半分くらいは顔を知っているが、半分は未知。少しづつ探りを入れていく。熊野を発つ時にN君から名刺をもらったS技師ともようやく会うことが出来た。
自分は既に「おんつぁん」の領域に達しているので、若手にちょっとだけお話をする。北部のH技師には、パートナーを大切にしなさいね、などと偉そうに講釈を垂れる。
程々楽しんで、最後は自分が挨拶をすることに。

2次会は、店の前で客引きをしていた夢源という店へ。テーブルレイアウトは居酒屋とスナックのハイブリッドという感じだった。栗原のS技師、林業振興課のO技師とねちねち話をする。O技師の特技を知ることが出来、宮城県の宝が見つかったと驚嘆する。
K次長も2次会に顔を出されたので、いろいろ極秘の話をする。三重のY次長と同じく、全体を見渡せる優れたバランス感覚をお持ちなので、宮城の林業はしばらく安泰だと感じる。そして、パワフルな次世代が着実に育ってきている。

実は、三重では当たり前にある文化が宮城にはないことに気づいていたが、それは特定のケースだけなのかと思っていたが、ここで改めて、いかなる場合でも存在していないことが確認できた。
上司から部下へ、先輩から後輩へ、年長者から若者へ。自分も幾度となくその文化の恩恵に与ってきたので、ここでそれを根付かせようと大見得を切る。この文化が根付けば、世代を超えた連帯感が生まれると思うのだが...

もう日が変わりそうな時間に散会となる。一部の若手は満足しなかったのか、夜の街へと消える。

とぼとぼと歩きながら、コンビニで買い物をしてホテルに戻る。偶然というか、自分のよく知っている
方とホテルの前で鉢合わせる。人にはそれぞれ言えないことがあるのだな、と思った。