2014年2月21日金曜日

#392 春遠からじ

極めて気温の低い朝を迎え、外から「ガリガリ」と音が聞こえてくる。案の定、うっすらと雪が積もっていた。いつものように準備をして、冷え切った道を徒歩で合庁へ向かう。

昨日から引き続きの精算作業を進める。図面を直したりするが、初期に比べてCADが自在に扱えるようになったのは成長した証か。電話などもほとんどなく、順調に作業を進める。
T氏とI主事とオリンピックの話題になる。しかし、職場ではほとんどその話題に触れる人がいない。地元出身の羽生選手が金メダルを獲得したにもかかわらず...皆、見てはいるようなのだが。
非ライブカメラA
非ライブカメラB
午後も作業に取り組み、ようやくゴールが見え始めたころ、あるトラップに引っかかる。この期に及んで...。顔は笑っているが、内心は穏やかではなかった。

そのような中、治山班のM技査からメールが届く。内容は、県庁ではない、仙台からの指示、指摘事項だった。被災地の復旧、復興は、全国の方々の血税で賄われている。今は宮城県民だが、三重県民の自分も含まれている。

納税者でもある自分としては、適正な執行は当然のことながら、被災地の方々がいち早く生活の基盤を取戻されることが一番の願いである。しかし、メールにあった内容は、どう考えてもその期待を裏切るものだった。誰のための、何のための指示、指摘なのか理解に苦しむ。

様々な事業主体が、複雑な調整を行わないと前に進めない今のスタイルを、未来の被災地である三重で模倣したいとは思わない。国、県、市町が顔を突き合わせて仕事ができる「復興センター(仮)」が、自分の理想であり、その方が圧倒的スピーディーに仕事が進むからだ。しかし、その真逆を強要する人たちが、その権力を濫用している姿を見ると、とても悲しい。

トラップで受けたダメージをリカバリーするために頭を悩ませる。ちょうど1年前も似たような状況に追い込まれていた気がする。

昨日、保安林について少し案内した水産研究所の方が再び来室する。小学校での話は想像以上に好評だったようで、保安林にも興味を示してくれたとのことだった。
海と森のことを少しお話される。何とも言えないこともあるようだったが、やはりというか、針葉樹よりは広葉樹の方が海にとってはふさわしいこと、ケイ素が植物プランクトンの増殖に欠かすことが出来ないもので、川の水には海の水の100倍という単位で含まれていること、水の中の生き物のバランスのことなど...水産技師とのコラボが必要だと強く感じる。

再び現れ、カキを蒸し焼きにしたものをくださった。ちょっとしょっぱいカリカリとした食感は、酒の肴にうってつけだ。
現場代理人のS氏に無理に電話をしながら作業を進めていると、ワイヤレスマウスが突然言うことを聞かなくなる。どうやら電池が切れてしまったようだ。今日は店じまいにしよう。

あらゆる水たまりが凍り付いた街を歩く。比較的遅くまで営業しているオーベルに出向くが、あいにく「CLOSED」のサインが出ている。もう少し歩いて吉牛へ。
懐かしい吉野家コピペを彷彿させる、殺伐とした雰囲気だった。空腹を満たす以上のものは得られなかった。

凍てついた道を歩きながら、春のことを思いうかべる。もう少ししたら、三重だと田んぼに水が張られ、気の早い筍が顔を出すころとなる。気仙沼では、さらに時間がかかるだろう。
最近少し疲れてきたのか、やや後ろ向きの自分がいる。やがて来る春待ちわびて、今しばらく冬を耐えることにしよう。