2014年2月6日木曜日

#377 border

昨日と変わらない寒い朝を迎える。昨日に比べると雪は大分溶けたが、それでもところどころに残っている。いつものように準備して、徒歩で出勤する。ところどころでツルッと滑る。

速やかに準備して、B勤務のI主事の到着を待って出発する。昨日に引き続き、戸倉にあるHという施工予定現場に向かう。渋滞を恐れていたが、流れはスムースだった。しかし、少し山間に入ると雪がたくさん残っており、途中で事故も。幸い、人が亡くなるような激しい衝突ではなかったが。

昨日と同様に、境界の確認を行う。お一人近隣の方だったが、時間を過ぎてもお見えにならない。近くの番屋に顔をだして尋ねてみると、4人いた漁師さんのお一人が電話をかけてくださった。
到着を待つ間、防潮堤の話などをする。若い漁師さんも関心が高いようだった。こういう時、必ずいじられてしまう自分は、そういうキャラクターなのだろうか...。
これは「たっぺ」とは言わないだろう...
確認作業が無事終わり、昼食に出向く。津の宮にある大自然塾という店へ。I主事が「NHKで出てたところだよね?」と真っ先に反応する。
気さくなご夫婦が経営されている仮設のお店。ご主人は元養殖の漁師さん。家、船、養殖道具とすべて流されてしまい、お店を開いて再起を図られている。
海鮮とろろ丼
火野正平さん来店
震災から3年近くが経過するが、やはり家という拠点がないと落ち着かないと話される。他にも、まだ日々精一杯で、将来のことが考えられないことなど話を伺う。しかし、明るいご夫婦のことだから、前向きに乗り越えていくに違いない。

書類に印鑑をもらいに行ったり、残りの境界を確認したりで、無事にミッションは完了した。引き続き、隣接する施工現場へ段階確認に出向く。法枠のフレームも大方完成している。チーム二戸はクオリティだけでなくスピードも兼ね備えた優れたメンバーが揃っている。黙々と作業している姿を見ると、東北の人の朴訥さを感じる。

帰りも渋滞がなく、予定より早く合庁に到着する。業務の進め方をT班長とディスカッションするが、イマイチかみ合わない...

業務終了後T氏とW技師と3人で住田へ向かう。当初W技師のクルマで出かける予定だったが、より安全を喫してT氏のランエボを投入する。

星石油店で給油し、高田の街を抜け、未来商店街のBrics.808、通称八百屋へ。時間がないので、T氏とW技師はどんぶりを、自分は米粉麺のスープパスタを注文する。
うーん、ちょっと口に合わないかも...
住田町役場の研修室で開催されている「エネシフ気仙」の勉強会に参加する。以前から存在は知っていたが、初めてお邪魔することが出来た。

少し遅れて参加したため、既に会は始まっていた。岩手県大船渡農林センターの小原課長による、岩手県の木質バイオマスに関する取組の紹介。単なる紹介に終わらず、メンバーを勇気づけるような問題提起型の発表が参考になった。
後半は、住田町役場の佐々木氏による欧州視察の報告。ヨーロッパでは各家庭が個別に暖房器具などを整備するのではなく、セントラルヒーティングのような仕組が各地にあるとのことだった。木質バイオマスだけでなく、太陽光なども併用しているとのことだった。
Cool過ぎる役所
岩大卒のW技師と、同じく岩大卒の岩手県のH技師を面会させたり、事務局のM氏と今後の視察対応についてお願いが出来たりと、充実した時間を過ごすことができた。
隣町で、こうやって熱い方々が集まっているのをみると、県境の存在が邪魔で仕方がない。

雪が降る中、397号線で種山越えをするという暴挙にでることに。忘れ物を取りに戻って若干ロスするが、殆どクルマの走っていない道を順調に西へと向かう。しかし、道路には雪が積もっており、T氏に過大なストレスを与えてしまう。

道の駅ぽらんで少し休憩する。何度か訪問しているが、24時間開いている休憩室があるとは知らなかった。そして、目的地のポスターが掲示されていた。
不愉快な雪道を抜け、奥州市水沢になる黒石寺(こくせきじ)に到着する。駐車場はクルマでごった返していた。降りやまない雪の中、境内へ。
ちょうど神事の狭間だったようで、人は多いものの静か。お参りをしてから少しぶらぶらする。
寒さに耐えきれなくなり、このままだと帰ってしまいそうになるが、23時半から「ひたきのぼり」と呼ばれる神事が行われるようなので、しばし待つことに。
「イヨー、イヨー」という掛け声とともに、棒を合わせる人や枯れ枝を束ねたものを持つ人の列が現れる。
本堂前に人だかりができ、半割にした丸太を交互に組んでいく。
人の背を超えたくらいで完成となる。そして枝の束に火がかけられ、もうもうと煙が上がる。すると「ジャッソウ、ジョヤサ!」という掛け声とともに、組木の上に男たちが登る。
あまりにも不思議な光景に、すこし呆然としてしまった。厳寒の中の過酷な祭のイメージが強いが、参加者はみなハイテンションだった。やはり祭は見るより参加だと思った。W技師も同様の想いだったようだ。

しかし、翌日のことを考えるとそろそろ撤収しないといけない。土産物売り場で小間木と呼ばれるお守りと、蘇民袋のレプリカを買い求める。お店の方が丁寧に説明してくれた。
新雪の積もる道を気仙沼へ。途中何度か寝落ちしてしまったが、無事に到着した。