2014年11月3日月曜日

#647 Crossover Kesennuma Vol.17 -天運循環-

昨晩早く寝たので、いつもより格段に早く起床する。洗濯物が溜まってしまったので2度回していたら、既に遅刻しそうな時間に入っていた。ダッシュで洗濯物を干し、準備して5号機で出発する。外は昨日とはうって変わって、とても寒い。

鹿折から唐桑へ。「唐桑・特撰エコツアー」は9時半スタートなのに、到着したのは9時半。しまった...
既に乗り込んでいた市役所派遣のK氏から、「水上さん、一番ですよ!」と。本来ならあとお二人参加される予定だったが、結局自分一人だけとなってしまった。撮影だけのはずのK氏も加わり、近くを歩いていた地元の方も強制的に連行され、ツアー開始となる。

ツアーガイドのT氏、唐桑観光協会のKさん、旅行会社のO氏と、豪華メンバーで出発する。
まず、御崎観光港前にある石碑の解説から始まる。
大漁旗と記念碑
地元では古館(こだて)と呼ばれる鈴木家の当主鈴木哲朗翁の顕彰碑。唐桑村長や県議会議員を務められた方で、この地方の水産業の発展に尽力された方。明治43年に10万匹のマグロの水揚げがあった時は、この方の時代。海が見える場所に建てられているのも納得できる。
明治三陸のことを尋ねてみると、鈴木家にはその当時の対応などを書かれた文書が保存されていたとのことだった。書かれている内容は、今回の震災の時とほぼ同じとのこと。歴史は繰り返すとは、まさにこのことかと...

そして、御崎神社方面へ向かい、仲網大漁紀念の碑へ。
大漁旗で飾られている

口語訳
この石碑は、明治43年に半端なく大量にマグロが獲れたことを記念して建てられたもの。そして、石碑だけでなく、周辺に1,000本の植樹をしたとも書かれている。しばらく不漁にあえいできたこの地にもたらされた天の恵み。そういった出来事は繰り返すということを「天運循環」という言葉で表現している。明治三陸津波の悲劇から9年目に訪れた幸運は、まさに天運循環だと思う。
碑の裏面には、広田村や本吉村という記述がある。唐桑の人たちだけでなく、地区外からやってきた人たちも働いていたことが読み取れる。

石碑から海側へ出ると、「平磯」という平らな場が見える。
真ん中は「万里の長城」と名付けられた岩が固まったもの
この地方には珍しい暖地っぽい照葉樹林
そして、御崎神社へ。
賽銭箱の紋も波をイメージ
 丁度神主さんが見えたので、特別に天井絵を見せていただくことに。
四角い位牌が神社に置かれている不思議
径を抜けて、唐桑ビジターセンターへ。
サルがしがみついているような木

ビジターセンターにて、崎浜大漁(地元の人は「だいりょう」と言う)唄込の会長やメンバーの方とあいさつをしてから、T氏自作の紙芝居を見せてもらう。
「天運循環」というタイトルの紙芝居、イラストはすべてT氏が書かれたとのこと。唐桑の歴史や大漁唄込の誕生などをまとめた力作だった。
そして、いよいよ本日のメインとなる大漁唄込体験となる。さっそく「三重(さんちょう)格子」の衣装を身に着けることになるが、ここで急きょ来館者がメンバーに無理やり組み込まれる。愛知県刈谷市から石巻市役所に派遣されているという方。

大漁唄込は、通信手段が未発達の頃に、陸にいる人たちに大漁を告げるために歌われたことが始まり。魚の量で歌のボリュームも変わっていたとのこと。そして、崎浜大漁唄込の特徴は、櫂をもってリズムを取りながら歌われること。ドンっドンっという音がとても印象的である。
諸先輩の唄
聞き惚れる3人
先生に合いの手を入れる
横に並んで、気分は大漁に沸く漁師さん!
熱唱中
歌詞の内容について質問
談笑中
みんなで記念撮影
唄込の際の「ヘンヨーヤッサ」や「ユイドハーユイ」といった掛け声は、ヘブライ語がルーツと伺った。以前、インドの漁師さんから、同じ掛け声で歌っていると言われたそう。海は繋がっているんだな、と改めて思う。

そして、K氏がなにやら不思議なレイアウトでメンバーを並ばせる。
で、出来上がったのがこの写真。
自分がリーダーのようじゃん…
石巻の派遣職員も誘って、漁火パークで昼食。石巻市、気仙沼市、宮城県で情報交換を行う。

午後は、燦さん館という施設で開催される、新作紙芝居の上演会へ向かう。
地元向け上演会なのに、かなりの観客が集まった!
新しい紙芝居のタイトルは「海の古道~1300年の旅~」。熊野の神々がこの地にやってきた経緯、そして紀州のカツオ一本釣のテクノロジーがもたらされたこと、そして震災後の新宮や那智勝浦との絆などがストーリーとして組み立てられている。
おぢゃっごは「かぼちゃ饅頭」
カツオ漁が紀州からもたらされたことは以前から知っていたが、改めて熊野神社の話と組み合わされると、そのつながりに興奮する。海は繋がっているし、紀州と唐桑も繋がっている。この物語も、劇として上演される予定である。
その後、3月に仙台で開催された「海の家族の棲むところ」のDVDも映され、閉会となる。

後片づけを途中で切り上げさせてもらい、帰路につく。冷え切った街を走っていると、丁度解体中の復興マルシェを見かける。仮設から仮設へ。復興への道は遠いと感じる。
帰宅後、少し早かったが夕食を摂るために新来軒へ。
中華飯
あまりにも腹いっぱいになってしまい、ベースキャンプで思わず横になる。