2015年1月15日木曜日

#720 歯車

やや曇り空の朝を迎える。天気予報では今日は夕方に向けて下り坂と伝えている。いつものように準備して、いつものように出勤する。曇っているからなのか、少し暖かいように感じる。

まだ解決していない課題のうち、今日は設計や施工に関わることを中心に進めていく。コンサル氏には図面の作成を、現場代理人氏には方針決定を告げなければいけないのだが、まずは自分の中できちんと理解しておく必要がある。治山班のM技査と頻繁に連絡を取り、作業を進めていく。

南三陸町役場のG上席主幹に電話を掛け、Hという施工箇所に関するこちらの事業の進め方について説明する。ステークホルダーが多すぎるため、こちらの意図通りに進むかどうかわからないと伝えられる。確かにそれは理解している。そして、すべては明日の打合せで決するのはず...が、一つ決定すると、玉突きでいろいろなところが影響を受けてしまう。

佐賀のU氏が、最近K氏の様子がおかしいと伝えてくれる。確かに、自分も態度の変化を感じていた。現場に出ていたK氏の帰還を待って、少し話を聞いてみる。

K氏がスムースな進行に務めていた現場は、問題なく順調に進んでいるが、それに水を差すような事態が発生したらしい。確かに、K氏は以前から自信をもってコトを進めていたので、見ていて安心できたが、周りはそうは思わなかったらしい。いつになく激昂しているK氏を見ていると、こちらも辛くなる。
歯車がかみ合っていない状況を解決するには、ガス抜きを敢行するしかない。U氏はT部長、S総括と派遣職員の懇親を図るという秘策を考えていたが、その案は若干ギャンブル性を秘めている...

水漁のS技術主幹に、残存型枠について聞き取りに訪問する。しかし、そのタイミングでHという施工箇所の関係者から電話が...
「なんか、横でボーリングしてるんだけど...」
しまった、事前に連絡を入れることを忘れていた...平身低頭で謝罪し、その他こちらから伺いたかったことも聞かせていただく。また、農地転用関連の質問を受けたので、U氏にバトンタッチする。
非ライブカメラA
U氏が説明の電話を入れましたとレスをくれた。「大事な方だと思い、丁寧な対応に努めました。」と。さすがU氏、佐賀が送り出した若手エースは、何も言わなくてもこちらの意図が分かっている。

T班長とともに、土木事務所に建物調査に関する資料を見せてもらいに行く。経験豊富なH班長からは、絶大なヒントが得られる。書類には現れないニュアンスが十分に伝わってきた。数分の打合せで十二分にことが足りた。

再び午前中に強制終了してしまった残存型枠の聞き取りを行い、コンサル氏への説明用図面を作成する。再び治山班のM技査と電話でやり取りする。仕上がりの美しさや施工のしやすさ、以前偵察した他現場の写真を参考にしながら、図面を書いていく。

しかし、図面を作ったのはいいが、今度は隣接する水漁の構造物に影響を及ぼすことが判明する。T技師に事情を説明し、了解を得る。

復興というクルマを円滑に走らせるために、自分と言うエンジンの動力を、複雑な調整というギアボックスを介し、駆動力として伝達する必要がある。今は何とかギアがかみ合っており、弱弱しいがクルマは前に進んでいる。ただ、潤滑油が足りなかったり、ギアがうまくかみ合わなければ、たちまちクルマは止まってしまう。今はそういった危うい状況にある。
そういった状況を慮ってか、H主任主査やN技師が、ブレーキを少し踏んでみるというアドバイスをくれる。今のまま進むと事故すると心配してくれたのだろう。

ふと、エンジンが停止する。何やらモチベーションと言うガソリンが切れてしまったようだ。丁度帰宅しようとしていたN技師と大型ショッピングセンターまで歩いていく。
「小雨が降ってるから...」とのことで、買い物した自分をベースキャンプまで送ってくれた。時に憎らしく、時にこういった優しさを見せるN技師はとても面白い。彼が嫌にならなければ、一生の付き合いになるかもしれない。

夕食は買ってきた寿司とタラの芽の天ぷら、そしていただき物のせんべい汁。

ふと、部屋のドアをノックする音がする。扉を開けると、三重の上司からの香典返しが届けられた。そしてまたノック。次は三脚メーカーのキャンペーンで、もれなくもらえる品が送られてきた。選んだモノの割にやたら箱がデカく、余計な期待をしてしまった...
雲台