2014年7月19日土曜日

#540 痕跡

9時のアラームで目を覚ます。外を見ると、分かりきっていたことだが、路面はべっとりと雨で濡れていた。今の時点では雨が上がっているようだった。準備をして5号機で唐桑に向けて出発する。
鹿折のコンビニによると、案の定、雨が降ってきた。やむなくカッパを着て、山道を抜けていく。
応援したいガソリンスタンドの一つ、須藤商店で久々に給油し、早馬神社へ。幸いにも他の参拝客はおらず、5号機のご祈祷をお願いすることに。もはや、この神社は自分にとっての氏神様になっている。

ご祈祷の途中、銅板葺の屋根を強い雨粒が叩きつける。以前、前厄払いの時にしていただいたようなご一連の儀式が終わる。しかし、雨がなかなか止まないので、しばらく待たせてもらうことに。神主さんの父上と少し話をする。唐桑と気仙沼では天気が違うこと、震災後に停電の長いトンネルを歩いたことなど...
今日は雨なので、以前の写真を...
休憩所には、津波の浸水深が明示されている。この神社では、津波の脅威を数百年と言った長きに渡って残してもらえるような気がする。

45号線経由でベースキャンプへと戻る。防水でない靴で行ってしまったので、足元はずぶ濡れだった。
久々に新来軒に昼食を食べに行く。いつものおばさんは、久しく姿を観なかったので、もう帰ってしまったのでは、と思われていたそうだ。カレーを食べ、漫画を読んでいたらコーヒーをごちそうになってしまった。
超絶汚くなっている部屋を片付ける。キッチン、トイレ、ふろ、そして居室。テキパキやれば早く澄んだかもしてないが、だらだらしていたら20時を回ってしまった...

大型ショッピングセンターで枯渇した消耗品などを買い出し、引き続き最近開業した「気仙沼ほっこり湯」へ。
津波で被災した施設を改装
岩手の遊技業者が経営している
この場所には、津波で大きく被災した商業施設の跡と思われる鉄骨が、長きにわたって放置されていた。このように改装されるとは思っても見なかった。
店内には食堂も設置されており、仮眠することも可能である。営業時間も気仙沼ではかなり遅くまでやっている方だ。自宅にいたころは、よく近所のスーパー銭湯に行った。向こうは土曜の夜だと凄まじい人だが、ここは比較的静かだった。
風呂から出て、たたみの部屋でだらだらする。
気になっていたのだが、浴室や脱衣場、館内に津波避難に関する記述を見かけることはなかった。近くに高台はあるが、夜中だと少し不安である。
世の中には、白浜の崎の湯など、もっと危険性の高い場所はある。しかし、震災から3年少ししか経っていないんだが...
被災地では、新しい施設が次々に生まれている。きれいな街が出来て、新しい建物が次々に建っていくと、津波被害の物理的記録はどんどん失われてしまう。

再び雨が降り出した中を、ベースキャンプへと戻った。