2011年12月4日日曜日

#46 山間に響く音色

強風が吹き、とても寒い朝となった。

惰眠をむさぼっていたら、杣遊会のM氏からお電話をいただいた。その技術に触れるべく、身支度を整える。今日は寒そうだが、とりあえずベースキャンプを出る。

直線距離で300mのところにある機械屋さんの店先が、杣遊会の活動スペースである。ベースキャンプにもチェーンソーの音が聞こえてくる。M氏は既にリスを1匹掘り終えていた。
昨日の朗読会の出演者が、チェーンソー・アートに深い関心を寄せておられたので、お土産用に小さ目のリスを2匹掘る。作業はあっという間に終わってしまった!
このようなアングルから撮影はダメですよ!
ちなみに、創作に使われるチェーンソーは、バーに特徴がある。
通常のチェーンソーに比べるとやや細身でとがったような形をしており、微細な加工をする際には、軽量で短めのものを利用する。
一旦作業が終わり、前にもお邪魔した理髪店「好(たか)」に向かう。先客が2名みえ、コーヒーをいただきながらスマホをいじって待つ。

時間は既に11時半を回っていたが、今日はオーナーの晴れ舞台、「住田町歳末たすけあい芸能祭」での演奏が控えているため、超高速で刈りあがる。
オーナーの友人もみえ、いつの間にか衣装への着替えが終わっていた。

チェーンソー・アートの見学中、あまりに寒かったので、ベースキャンプでパッチを装備するなど立て直しを行い、住田町農林会館へ向かう。
入口で500円を支払い中に入るが、お目当てのプログラムは最後なので、しばしペレットストーブの前で暖をとる。

会場の片隅でラーメンをおいしそうにすすっている人たちがいたので、買い求めようと係の方に尋ねたら、なんと無料!
濃いめのスープで、とてもおいしかった。体も温まったし。
食べ終えると、ちょうどプログラムが始まる時間になった。勇壮な鳴瀬太鼓の演奏である。
「好」のオーナーも、その友人も、見違えるようなカッコよさである。

そして、再度杣遊会のワークショップへ向かう。タバコを買い求めるために世田米の街を走っていたら、交番の前にも杣遊会の作品が!いずれ住田の街は杣遊会の作品で埋め尽くされてしまうかも(笑)
世田米は川沿いに蔵が立ち並ぶ宿場町。昼間に通ることがほとんどなかったが、よく見るととてもいい味を出している。

M氏はヤマドリの作成に取り掛かってみえたが、ほぼ出来上がりの感じがしている、作業時間30分。早い!

作品の多くは気仙杉が使われており、直径60cm級の素材がゴロゴロしているが、年輪は比較的荒く、50年生程度である。この地方では、植栽本数が3000本程度であり、あまり大きくなりすぎると市場でも嫌われるとのことだが、ここまで太った木は三重ではあまり見かけない。寒いところは成長が遅いというイメージがあったが、三重とは施業方法が異なっているのだろうと推測する。

近くに直径40cmほどのクルミの木が転がっており、早速素材として加工が始まる。以下連続写真でお楽しみいただきたい。クルミは心材と辺材の硬さに大きく差があるようで、加工が若干困難である。
ここまでの作業時間は1時間かかっていない。
ここでの作業中、ときおりギャラリーがやってくる。子連れや他の地方から来た年配の方などなど・・・
作業がひと段落し、後片付けを手伝っていると、杣遊会の事務局長がお見えになった。クルミの削りカスを、たい肥と混ぜ合わせて畑に撒くためお持ち帰り。エコである。
今日は私の装備がイマイチだったので、来週武装してこれば作ることを許すとのこと。とても楽しみである!

3人で立ち話をしている中で、週末は五葉温泉によく行っていると話をしたら、遠野にも温泉があるよと教えてもらい、今日はそちらに向かうことにする。
ベースキャンプで準備を整え、遠野に向かう。クルマが揺すられるほどの強風が吹き荒れている。

ナビでセットした温泉は、かなり特徴のある泉質だが、食事も同じ施設で済ませたかったので、人工温泉のたかむろ水光園に向かう。人工温泉と言っても、太陽光で湯沸しをするという、特徴ある施設である。

ナビ通りに行っても、遠野市内で道に迷う。遠野は平らなのに道がやや狭く、一直線の道が少ないような気がする。
本当にこの道で大丈夫なのか?というようなところを通って、施設につく。残念なことに、レストランは15時までの営業だった。震災の影響で、建物の伸縮継ぎ目のところで大きく段差ができている。

大きく清潔な風呂をでて、食事場所を探しに市内へ出る。遠野はジンギスカンが有名だが、一人で焼き肉というのも微妙なので、特に食べたいものを決めていなかったが、地元風の和食ファミリーレストラン「善兵衛」に入る。
体の中から温まろうと、鍋焼きうどんをオーダーする。この店は、食事すると自動的にサラダバーがついてくるが、なぜかご飯とみそ汁も食べ放題という、食いしん坊向けである。
揚げ餅とごぼうの天ぷら入り
机上には、昔懐かしいおみくじが置かれていて、思わずひいてみる。
大吉!
暗くなった道を、世田米へと向かい、閉店直前の八兆屋で朝御飯を調達する。レジの方が私のことを覚えていてくれた。