2013年4月29日月曜日

#94 牡鹿半島

暖かな朝を迎える。昨日の強風も収まり、さわやかに晴れている。若干出遅れるが、さっさと身支度を済ませて出発する。
先日、大雨の中クルマに乗ってしまったので、またしてもドロドロになっている。階上にあるコイン洗車場の「門型ブラシレス洗車機」に投入する。

45号線を南下し、南三陸町戸倉から398号線を走る。最南端の現場まではちょくちょく来ているが、そこから先は一昨年の12月以来。沿岸部の集落は、そのほとんどが被災し、更地になってしまっている。
北上川の橋を渡り、大川小学校の脇を抜け、雄勝町へ。街の中心部だったところには、以前はがれきがうずたかく積み上げられていたが、今はすっかりなくなった。

女川の街を抜け、牡鹿半島コバルトラインに入る。路面はかなり波打っており、ゆっくり走らないとバンパーをこすってしまうようなところも多々。唐桑半島とは違い、地震動による損傷が激しいように感じる。
途中のインターで通行止めになり、コバルトラインから離脱、対面通行の道を走ると、しばらくして十八成浜に到着する。気仙沼を出発してからおよそ2時間半。遠い...

27日から3日間、ここで「牡鹿半島くぐなり浜チャリティー・チェーンソーアート・フェスティバル2013」が開催されている。全国からカーバーが集まり、作品をオークションで販売、売り上げを地元に寄付するという取組である。
栗田さんによるフクロウの製作
三重の誇るカーバー、松田玲さんの作品
終了間際に到着したため、殆ど作品は出来上がっていたが、それなりに来客があり、賑わっている。チェーンソーアートを見物したり、焼きガキを食べたり。

13時からオークションが開催される。今回のイベントを主催している滋賀の高取チェーンソークラブの会長の、軽妙なMCで進行する。

大物は置く場所に困ってしまうので、小さ目のイーグル(頭部のみ)を購入する。幸い他の落札希望者がいなかったので、無事落とすことが出来た。中には、10万円と値の付くものがあり、会場がドッと沸く。
飛び入り参加する、ラグフェアのおっくん
オークションが終了し、世界的に活躍されている栗田宏武さんから挨拶がある。震災直後、住宅の整理などで被災地での活動を行っていたが、チェーンソー・アートのパフォーマンスを披露したところ、子どもたちに人気があり、むしろこちらの活動を進めていこうということになったそう。
栗田さん
緩やかにお開きとなり、会場を後にする。十八成浜の海辺は、一部に松林が残るものの、気仙沼や南三陸と似た状況になっている。
捕鯨で有名な街、鮎川へ。
定期船乗り場に向かう。しかし、憧れの田代島にわたりたいと思うも、船便の時間的に戻ってこれなくなるため、やむなく断念する。
定期船乗り場から街を望む
昨日の植樹イベントで、T氏の神戸ナンバーのランエボが大人気だったように、三重ナンバーの86も人気となる。網地(あじ)島へ渡る乗客や、網地島ラインの係員の方に話しかけられる。
網地島行のプチ・フェリー「マーメイド」
係員の方は、あの第十八共徳丸にも乗っていたことや、四日市にも1ヶ月ほど滞在したことがあると話をされた。復旧事業の優先順位や、港湾復旧への想い、タラが不味いのは放射線の影響?など、海に暮らす人ならではの話を聞かせていただいた。

港の一角にあるホエールミュージアムは、残念ながら解体されることになる。クジラの街という点で和歌山県太地町がオーバーラップ。あちらも南海トラフの巨大地震で相当な被害を受ける可能性がある...
展望台のある御番所山へ向かう。ここからは、網地島、田代島、金華山などを一望することが出来る。しかし、展望台に至る道路や駐車場は激しく波打っており、地震の激しさを物語っている。
超絶絶景
牡鹿半島の東側を通る細い道を行く。ところどころ山腹が崩壊している箇所に出くわす。漁港集落と思わる場所は、人の気配も感じられなかった。
しばらくすると、東北電力の女川原子力PRセンターがあった。残念ながら閉館時間になってしまったため、通過する。近いうちに訪問を検討しよう。

この道を行くと、女川原子力発電所の建物が垣間見える。福島第一原発と違い、安定した状態にあるため、今、このようにこの場所にいることが出来る。

長い山坂道を抜け、ようやく女川の街に戻ってきた。1年ぶりにおちゃっこ倶楽部に立ち寄ってみる。ソフトクリームを頬張り、三陸河北新報社の写真集を二冊買い求めた。
女川の街を詳しく知っているわけではないので、1年前との状況変化があまりわからないが、土が盛られているところなどを見ると、比較的速いスピードで事業が進んでいるようだ。
街の中で、かさ上げや河川堤防、海岸堤防の工事看板を見かける。
国道の高さ TP+5.4m
河川堤防のイメージパース付
先日の植樹の際にA総括からもたらされた情報を元に、石巻市(旧北上町)の追分温泉に向かう。北上川の河川堤防は激しくうねっており、高速走行は不可能。

山間の道を抜けると、桜並木が見え、パッと前が開けてくる。追分温泉はいかにも田舎の宿という雰囲気が漂っていて、とてもよい。
ヨタハチ展示中
やや熱めの風呂に入り、すこしダラダラして気仙沼へ戻る。市内に最近オープンした「手もみらーめん麺楽」に寄り、名物手もみラーメンを食べる。味が薄く感じてしまったのは、最近濃い味付けの料理ばかり食べているからだろうか...