2013年4月20日土曜日

#85 アウェー感

8時半の目覚ましを2回ほど延長し、もそもそと起床する。すっきりしない天気で、気温も低め。
身の回りのことを片付け、菅原歯科に向かう。

歩いて2分の歯科医院は、津波で浸水したはずだが、それが想像できないくらいきれいに改装されている。土曜日の午前中とあってか、多くの来院者が待合室にいる。
若干の痛みがあったところは幸い虫歯ではなかったが、不摂生が祟ったため、しばらく通院することになる。ご子息に見てもらったが、東北弁で優しく話しかけられるので痛くても痛くない感じがしないこともない。

ベースキャンプに戻り、出かけようとクルマを見ると、黄砂が降ったのではないかと思うくらい、想像を絶する汚さになっていた。さすがに耐えられないので、コイン洗車場を探したところ、近くに発見した。先客の白い86が洗車を行っていたが、同じような状況なのだろう。

先日寄ったバイクショップにまた少し寄り、45号線を南下する。気仙沼の街を抜け、前から寄りたいと思っていた、旧本吉町にある道の駅大谷海岸へ。
仮設の道の駅
本来、ここはJR気仙沼線の大谷駅に併設されていたが、被災したために本来の建物は解体された。横にある食事処で昼ご飯を食べる。
悩んだ挙句、カキフライ
お店の方から話しかけられる。気仙沼から来たと告げたところ、話が終わりそうになってしまったので、三重から来たと改めて申し出る。仕事の内容を話したところ、大槌町に派遣された職員の出来事になった。あまりにショッキングなことだったので、自分自身が何人かの方に心配される。主人からは、「力を抜いて」、奥さんからは「あんたなら大丈夫だ(笑)」と。どうやら大丈夫そうに見えるようだ。
プラットフォームの片隅にあった、復興松
大谷海岸は海水浴場として賑わっていた場所で、砂浜の背後には松林が形成されていたが、すべて流出してしまったので存在せず、黒い大型土のうが視界を遮っている。
様変わりしてしまった風景
防潮堤の計画高さはTP+9.8m
次は大谷鉱山歴史資料館へ向かう。曲がるところの看板を見つけられず、大きく通過してから戻ることに。岩手県南部やこの地方は、平安時代から金の採掘が行われており、奥州藤原氏の平泉黄金文化を支えたとされている。ここの鉱山も昭和40年代に閉山されるまでは相当賑わった場所だったそう。熊野市紀和町を思い出した。
資料館はかなりひっそりとしており、かなり高齢と思しき管理人の老爺ただ一人だった…

次に向かうのは、南三陸町歌津にある平成の森。グラウンドやテニスコートのある複合スポーツ施設だが、現在は一部が仮設住宅として利用されている。駐車場の一角にあるトイレは、立っていると不思議な感じになった。どうやら床が傾いているようだった。
昨日、S主事が大島の中学校をみて「昼休みにサッカーをする場所がなくなってしまった…」と言っていたことを思い出した。

歌津の街を走っていたら、防潮堤の計画高さを表示したサインを見かけた。ここは45号線のバイパスがあった場所なので、それほど違和感はなかった。
画面中央右 TP+8.7m
改めて、志津川へ。街を一望できる高台に登ってみた。
そして防災対策庁舎へ。
いつ来ても切ない...
一旦志津川から南下し、戸倉のL1防潮堤の丁張を撮影する。
bBの上に注意 TP+8.7m
再度志津川に戻り、JR気仙沼線の志津川駅へ。今は南三陸さんさん商店街のBRT停留所が駅を名乗っており、ここのバス停には「旧」志津川駅と書かれている。
以前駅舎のあった場所に立ってみた。列車から降りて、初めて見る志津川の街。もう同じ景色は楽しめないのかと思うと、すこし残念な気持ちになる。

そして、南三陸さんさん商店街へ。
買い物や飲食を楽しむお客さんの姿を見かける。
佐良スタジオで写真集「南三陸から」やクリアフォルダなどを買い求める。続いて、千葉のり店でのりとわかめパリッTOスナックを、わたやでTシャツをトートバッグを、フレンズで町産材を使ったむすび丸の置物、ポロシャツなどを入手する。

わたやでは、三重から来たことを告げると、表においてあるカレーせんべいは多度産だと教えてくださった。おいしいとのことなので、一袋買った。こんなところで三重と宮城が繋がる。
フレンズの店主は、仙台・宮城ディスティネーション・キャンペーンのカンバッチを身に着けていた。自分も職場では着けているにも関わらず、本当はもてなす側でもあるのに、もてなされてばっかりである。

古川に用があるため、志津川を後にするが、予定されている三陸道の志津川IC付近には新しいガソリンスタンドが出来ていた。三陸新報によれば、旧市街地の再整備が終わらないので、こちらで新築したと書かれている。まちづくりの計画とは裏腹に、新しい市街地が形成されつつある。

内陸部の道は、ル・マンのサルテ・サーキットにあるユノディエールのような長い直線が存在する。
用を済ませ、夕食兼温泉を成し遂げるため、金成温泉延年閣へ。
夕食セットで800円とコストパフォーマンスは抜群だが、クオリティはそれなりである。
入浴後、ディスティネーションキャンペーンにちなんで作られた「もちっと愛スて」を食べる。
なんとなく、まだまだ宮城はアウェーである。クルマのナンバーのせいなのか、言葉のせいなのか、身なりのせいなのか...早く自分にとって宮城がホームになるといいんだが。