2013年4月8日月曜日

#73 春の嵐

朝から薄曇りで、しかも寒い。嵐が過ぎ去ったと思いきや、そうではなかった。出勤途中小雨に見舞われ、全身がしっとりしてしまった。見える限り、街に異変はないが、引き続き暴風警報が発表されている。

机上の書類にチラッと目を通して、週末の暴風雨による現場の状況確認のため出動となる。今回は、着任して間もないS次長も同行される。
三重にいたときは、なんとなく暴風雨の後は生暖かい風が吹いている感じだが、ここでは真冬に逆戻りしたような状況になっている。パッチを身に着けてきて正解だった。

まず、合庁から程ない現場に向かう。バックホウやブルドーザーが動き回る横を通り抜け、基礎がまだ残る小路を通ると、大きな水たまりが行方を阻んだ。
状況が分からないので、ゆっくりと前に進む。いつの間にか、水面が高くなってきている。最悪、水圧でフロントバンパーなどを破壊する恐れがあり、また何が落ちているかわからない状況なので、極低速で前進する。本格的なオフローダーでないと厳しい。

現地に降り立つと、冬の日本海のような風景に、少し切なくなる。
いくつかの現場を回り、変化のない現場もあれば、若干様相が変わっている現場もあった。常に波に洗われる場所では、その変化も刻々というより、著しい。
そして、自分が担当するであろう絶壁に向かう。
同僚のH技術主査が滑落した箇所も確認した。この高さで生命に別状がなかったことに安堵する。きちんとした装備で来ないと、本当に危ない...

S次長から、私とT氏の経歴など質問される。T氏はあらゆる林野公共を経験しているエキスパート。私は、森林計画→治山・林道→防災→環境→造林補助・治山→大船渡市派遣→治山・鳥獣と、林業技師とは思えない経歴。T氏がスペシャリストとするならば、私はゼネラリスト?うーん、自称オールラウンダーとしておこう。

ちなみに、S次長は南三陸町志津川出身。ご自宅やご両親のことを伺ったら、とても悲しい事実を教えてくれた。

ちょうどお昼時になり、昼食を取りに「南三陸さんさん商店街」に立ち寄る。人影も多く、入学式帰りの親子連れも見かけ、春らしい雰囲気を感じる。
何店かある飲食店から、志のだを選んではいることに。偶然、同僚2人も見かけたので、急きょ合流する。店内は程よく混んでいた。
日替わりランチを頼むと、刺身かドジョウかアナゴのいずれかを選べ、今回はアナゴにする。
アナゴを選んでも刺身つき
精算時に、レジにおいてあったタコのイラスト入りTシャツを買い求める。最近Tシャツをいっぱい買ってるような...

午後はまず南三陸町役場に挨拶に伺う。以前訪問した時は、コンテナハウスを組み合わせた庁舎だったが、よりグレードアップ仮庁舎に変わっていた。庁舎内は応援職員でいっぱい。
2011年7月
2013年4月
その後、唐桑半島の防潮堤や地滑りの現場などを確認し、帰庁したころには日が傾き始めていた。結局、クルマの外気温計は10℃を越えなかった。

ちなみに、管内は人口約7万人の気仙沼市と、約1万5千人の南三陸町の1市1町で構成されており、面積は合わせて約500km2。以前の勤務先、熊野管内は人口約3万8千人、約540km2だが、今の管内は南北に長いため、なんとなく広いような気がする。

業務終了後、地上高の低いクルマと自転車では実現できない、より高いモビリティを求めて、多趣味なパートナーのS技術主査に照会してもらったバイク屋に出かける。正直寒いので、若干悩ましい。
店員さんに話を伺い、喫煙コーナーでタバコを吸っていると、お客さんに「明日も風は強いのかな?」と強めの東北弁で訪ねられたので、スマホで確認する。

その後、少し雑談をした。お客さんは市内のがれき二次選別場でお仕事をされている。東北弁のヒアリング能力を高めることと、地域の実情を掘り下げるため、もう少しお話したかったが…
チャンバー付のJOGで本吉まで帰宅されるとのこと。寒いので事故がないといいんだが。

イオンで書店などにより、必要なものを買い求めて帰宅する。暴風警報は解除されたものの、外は突風が吹き荒れている。