2011年10月23日日曜日

#4 Crossover Ofunato Vol.1

大船渡のことをもっと知る必要がある。

雨も上がり、やや蒸し暑い一日なので、おそらく今シーズン最後のTシャツデーとなるはず。
まずは、ロビーで情報収集。地元大船渡の新聞、東海新報に目を通す。
東海、という響きに無駄に三重との関連性を求めてしまう。

1面に、「浸水想定区域は住宅制限へ」という見出しとともに、昨日行われた大船渡市の災害復興計画策定委員会の記事がある。基本的に、市街地の浸水ありきの計画である。
戸田市長は、より安全な方向に持っていくため、浸水想定区域内では木造住宅の建築を規制する案を提示した。今回が最終会なので、議論はまとまらなかったそうだが、今後の地区説明会なので周知を図っていくことになる。動きを注視していきたい。

ついでにイベント情報なども収集したが、特に興味を引くものはなかっため、大船渡No.1スポットである碁石海岸に向かう。

最近大船渡にできた魅力的なスポットがある。金色堂だ。
がれきをうまく利用し、空き缶やタイヤも活用されたこの建物、沿道でとても目を引く。作成した方に敬意を表したい。
斜め向かいにある、この地区のがれき撤去を担当する建設業者が作られた看板。熱い!

碁石海岸に向かう途中、大船渡漁港がある。
他の港もそうだが、ここも岸壁が大きく沈下し、満潮時には浸水してしまうため、通称トンバッグで仮の防潮堤が築かれている。今日の満潮は12:48、写真は満潮の少し前にとったものである。
碁石岬の駐車場には、岩手ナンバーの車が数台止まっていた。観光客が戻ってきている。
灯台のたもとには溺死者供養塔がある。何によるものかは、残念ながら読み取れなかった。
碁石岬からの風景は、ともかく絶品!
周辺を散策したのち、駐車場のわきにある「お食事処 岬」で昼ごはんにする。
悩みに悩んだ結果、海鮮丼にする。てんこ盛りの魚介類に、ブドウまでついて1,200円!
そして、支払いを済ませようとしたところ、柱には津波浸水深の紙が貼られている。
ちなみに、ここは海面から10mくらい上に建っているんだが・・・
引続き、「世界の椿館・碁石」に向かう。大船渡市役所も椿をシンボルに使っており、市内のいたるところでヤブツバキがみられるそうである。
受付で「今の季節は花が咲いてないんです・・・」と告げられ、あまり期待していなかったものの、早咲きの品種が花をつけてる!
世界の椿が高い栽培技術で育てられており、中は清掃が行き届いているうえに、スタッフのみなさんの対応も気持ちいい。椿のイラストが描かれたメモ帳を購入し、大船渡市立博物館に向かう。
津波関連の展示に期待していったところ、予想以上に充実していた。
年表や過去の津波被害の写真、旧式の地震計など、もっと広くPRしてもよかったのに・・・
しまった!年表に書かれていた「三陸沿岸地震・津波年表」のこと聞いてくるのを忘れた!また行ってこよう。
ロール紙に記録するタイプの地震計。今はフラッシュメモリーが主流かと。
博物館では、大船渡市史と三陸町史を販売しており、特に目を引いたのが「三陸町史第四巻津波編」。今まで見てきた町史に、津波編はなかったと思う。歴史地震を調べている地震対策室のO主査にも見せてあげよう。

展示物の中に、「八大龍神(はちだいりゅうじん)」と書かれた石碑がある。龍の神様は水の神様とされ、海上安全や大漁祈願で祀られているとのこと。
博物館の館長さんや学芸員さんに尋ね、一番近い場所を教えてもらった。
地図を片手にうろうろしてみるものの、どうしても見つけられなくてあきらめかけていたところ、崖のうえに石柱を発見!
ややロッククライミング的に上って、石柱に手を合わせる。
話は前後するが、「世界の椿館・碁石」向かいの駐車場の片隅(灰皿のあるところ)でたばこを吸っていたところ、千葉県警のパトカーから警察官が降りてみえたので、少し立ち話。
千葉県警は、1週間・20人ローテーションで勤務されているとのこと。他にも大船渡には、大阪府警、栃木県警からの応援部隊もいるそう。

お土産屋さんでは、ついついいろいろなものを買ってしまう。
復興支援いかせんべい、レポート、ガイドブックなどなど・・・
商品を説明した後、「買いますっ!」というと、「いや、押し売りみたい!」という店員さんのレスに、人の好さを感じた。
今回、とくにオリジナリティーを感じたのが、XUXU(シュシュ)のCD。
東日本大震災~大船渡復興支援CD「camellia~椿のうた~」。3曲入りで1,000円。売り上げの一部は義援金に充てられる。
どんな曲かは、聞いてみてのおたのしみ!ぜひ買ってほしい。

ちなみに、ここのお土産店「碁石海岸レストハウス」の名物に「さんまラーメン」がある。諸説入り混じっており、別々に食べた方がよいという話もある。滞在中にアタックしてみたい。

引続き、県指定天然記念物「三面椿」と見に行く。
熊野神社(三重っぽい!)の境内に、もともとは東・西・南の三面に植えられていたものの、今は一本。推定樹齢1400年という古木で、津波被害も逃れることができた。
高田の一本松に負けない、大船渡のシンボルだ。
そして、碁石海岸の中でも一押しの「穴通磯(あなとおしいそ)」に向かう。大船渡の観光写真には100%掲載されているといっても過言ではない。
少しさみしげな道を通って、ドーン!
写真でみると小さいが、実物はかなりデカい。音もすごい!

今日も大船渡港へ。
この前の岸壁に行ってみると、今日は稚内と根室、茨城日立の船が止まっていた。
夜だとわかりにくかったが、この岸壁は最近かさ上げしたようである。
今朝の岩手日報に、サンマの水揚げ金額が減少しているとの記事を見かけた。震災の影響とのことだが、なんとも悩ましい・・・

そして、港の一角に建設中の魚市場がある。
地震発生時には工事を行っていたが、今は止まっている。建設が進めば、大船渡の街と水産業復興のシンボルになるかもしれない。
セメント工場をバックに漁船を撮る 大船渡を象徴する光景
いままで、市街地の様子を伝えていないと思い、大船渡駅に向かう。
しかし、そこにはプラットホーム以外何も存在していなかった。
駅から海側を見ると、おそらく今まで見えなかったものが見えてしまっているのではないだろうか。
人や車の往来でにぎわっていたはずの商店街も・・・
「茶屋前商店街」と書かれた照明の基礎が残っている。
昭文社発行の「復興支援地図」の裏表紙に書いてある言葉が好きだ。
「ふたたび、旅人の行きかう街へ。」
大船渡が、旅人の行きかう街になるために、明日からもがんばっぺ!

夜は、大船渡市役所ホームページに3つある温泉の一つ、夏虫のお湯っこに行く。
結構にぎわっていて、300円で石鹸・シャンプーつき、しかもサウナやジェットバスまであるという、コストパフォーマンス最高の温泉!
(といっても、人工温泉ですが)
畳敷きの休憩室があるのもポイントが高い。この地方の公営入浴場はデフォルトでこのレイアウトか?

晩御飯は、最近野菜を食べていないので「ヘルシー定食」にしてみる。
小ラーメン、餃子、サラダ、ご飯。ヘルシーかどうか若干悩むところである。

帰り道、大船渡で初めて本屋に寄った。
今日はたくさんの本を手に入れた。
・三陸町史 第四巻(津波編):三陸町
・平成二十三年三陸大津波 被災地からのレポート:名村栄治
・ミニアルバムくるくるざっと500キロ・・・1985初版、1996増刷の南リアス地区写真集。背表紙がヤバくなってきている。落丁寸前。震災前の気仙地方の写真が満載。
・大船渡観光ガイドブック・・・ガイドボランティアグループが執筆。震災直前に完成。
・空から見た爪痕 気仙両市の被災状況:東海新報社
・気仙の惨状:村田プリントサービス
・甦れ三陸(カレンダー)
・鉄道ジャーナル(連載の「鉄道被災の現実」が、大船渡市を特集)

いろんな資料を手に入れたので、今度はもっと深い大船渡を調査したい。