また今日も寒い朝を迎える。昨晩あまり寝付けなかったので、少し体が重い。ホテルのサービスである朝食を食べて、身支度を整えていると、兵庫のK氏から電話が入る。既に約束の待ち合わせ時間を過ぎていた...
K氏が用意してくれた線量計とスマホを接続するためのアプリをダウンロードし、出発する。
朝の仙台を走る。気温が低いせいか曜日のせいか、クルマも少なく静かだった。長町ICから仙台東部道路を南へ上る。きょう開業の鳥の海PAを通過し、山元ICで降りる。
常磐道の山元~相馬、南相馬~浪江までが本日開通する。式典会場が本線上に設けられ、遠目にも金色のくす玉を見ることが出来た。
6号線を進む。前に通った時よりも、圧倒的にクルマが増えている。そして、ところどころで渋滞が発生している。復旧事業や復興工事が進んでいる証拠と受け止めたい。
K氏にいろいろと見てもらいたい風景があるので、まずは原ノ町駅へ。
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上野方面への開通は不明 |
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静かなプラットフォーム |
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ずっと置き去りにされた651系 |
線量計は、ここに来るまでの途中は0.05~0.1μSV/hを記録していた。駅周辺を散策していると、0.15μSV/h程度に値が上昇する。クルマの遮蔽効果を確認する。
再び6号線に戻り、浪江町へ。
以前訪れた静寂とは異なり、6号線を沢山のクルマが通過している。そして、コンビニにはクルマが何台も出入りしている。ただ、周辺の店はコンビニ以外はすべて閉ざされていた。
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コンビニが再開 |
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閉鎖された道 |
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線量計の値 |
そして、以前はチェックポイントが設けられていた場所を、立哨する警察官を横目に、何事もなかったように通過する。
車内の線量計の値は、みるみる上昇する。僅かな上昇にもナーバスだったK氏だが、その値に驚いていた。最大値で5μSV/h以上を記録した。
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浪江町から富岡駅までの変化 |
南側のチェックポイントを抜け、富岡町にある富岡駅へ。駅の海側には、倉庫のような建物が建設中だった。線量計の値は0.3μSV/h程度を示していたが、草むらに近づけると1μSV/hを超過した。
5月に訪問した時と大きな変化は見られなかった。
楢葉町に入る。役場近くに「
ここなら商店街」が出来ていた。丁度昼時ということもあり、作業員風の方々が沢山出入りする。近隣に店がないからということもありそうだが、全国の建設作業に従事する人たちが、岩手でも宮城でもなく、この周辺に集まっているような気がする。
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3店舗が入る |
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役場改装中 |
広野町を抜け、いわき市の四倉へ。道の駅で昼食とする。
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自分は海鮮釜飯、K氏はそば |
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2Fからの風景 |
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復興を願うメッセージ入りのタイル |
1Fの売店は、沢山の来客で賑わっていた。そんな中、Tシャツと缶バッチを買い求めた。
道の駅を後にし、前回じっくりと見ることのできなかった、背面を緑化した防潮堤にアクセスする。
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整備の進められる海岸防災林 |
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恐らくクロマツが植えられていた。 |
そして防潮堤へ。
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冬なので枯草色に変わっている。 |
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天端から眺める |
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全面は階段状になっている |
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植生ネットが張られている |
構造は詳しくわからなかったが、K氏と話をした結果、粘り強い構造になっているのではないかとの結論に至る。ブロックまたは現場打コンクリートの被覆上に土が盛られ、その上に植生シートか...追って調べてみたいと思う。
進路を北に向け、帰路に着く。いわき四倉ICから常磐道へ。クルマも少なく走りやすい。途中、ところどころに線量計が設置されている。常磐富岡IC付近では、2.4μSV/hと表示されていた。
現時点での終点である常磐富岡ICで降りる。ここから先も来年の3月1日に開通が予定されており、工事は順調に進んでいるようだった。
一般道を6号線方面へ走る。周辺では除染作業が行われており、多くの作業員やトラクター、そして耐候性の土のう袋を見かける。
そして再び6号線へ。
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この先大熊町 |
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固く閉ざされた集落 |
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無人のロードサイド |
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同上 |
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行き交うクルマはあまり多くない |
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大熊町役場近傍 |
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病院もあった |
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時折、作業員送迎バスとすれ違う |
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パーキングは閉鎖 |
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時の止まったガソリンスタンド |
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脇道はすべて閉鎖 |
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行き交うクルマ |
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建機レンタルの重機が... |
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双葉町へ |
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双葉町中心部 |
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看板も真新しい |
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路側で目立った工事は行われていない |
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そして浪江町へ |
以前チェックポイントがあった場所には、スクリーニングポイントが設けられている。係の方に「許可書はお持ちですか?」と訪ねられ、所持していないと伝えると、東電の職員が待つ場所へと案内される。
タイヤと靴底のチェックが行われ、問題ないとのことだった。
用足しのため、行きにも立ち寄ったコンビニへ。K氏が「ここのコンビニ、営業時間が15時までで、日曜休みですよ。」と。ちょうど閉店時間だったので、シャッターが下ろされた。
そして、浪江ICへ向かう。帰還困難区域に入ると、住家の前に設置されている柵がより強固なものになる。その閉ざされた様相は、原子力発電所事故の解決の困難さを表しているようだった。
そして、15時に開通したばかりの常磐道へ。開通を待つ車列も既に通過済みのようで、静かな高速をひた走る。開通15分以内に走るのは人生で初めてである。途中、車列が急激にスピードを落とすのは、この日この時だからやむを得ないか...
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線量計 |
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ところどころに設置されている |
北側の空が怪しくなってくる。明らかに雪が降っていそうだったが、案の定新地ICを過ぎるころには白いものが舞ってきた。
山元ICを過ぎ、行きは未開業だった鳥の海PAに立ち寄る。自販機とトイレのみのさっぱりした場所だが、物珍しさか沢山のクルマが止まっていた。
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景観にマッチしたデザイン |
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路側の線量計の値が表示されている |
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案内看板 |
引き続き、仙台東部道路から三陸道へと走る。車内ではK氏とずっと話し込んでいた。時折、ブラックなテーマも交えながら...
石巻河南ICで降り、昨日の研修会で使った資料を届けるために、高知から派遣のO氏の待つ石巻合庁へ。
資料を受け渡し、一緒に夕食に出かけることに。海鮮というよりも、むしろジャンキーなものをと提案し、ハンバーグ系ファミリーレストランへ。
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怖すぎ... |
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クリームシチュー風 |
昨日の晩も一緒にいたのに、今日もいろいろな話で盛り上がる。おそらく、この3人とも来年の3月で任務終了となる。いつ、どのように帰県するのか、その手段な相談する。ごみ捨て、ライフラインの手続き、荷物の発送...順番を間違えると辛い事態になりそうだ。
O氏と別れ、給油を済ませる。ハイオク158円という値段は奇跡である。
三陸道、346号線、45号線を走り、気仙沼市内で洗車をしてからベースキャンプへと戻った。外気温はたぶん0℃。本当に寒い。