2014年9月26日金曜日

#609 somebody

爽快すぎる秋晴れの朝を迎える。こう天気がいいと、仕事に出かけるのも張りがある。いつものように準備して、いつものように出勤する。

毎度のことだが、金曜日は人が少ない。こういう日こそ、自分のミッションを成し遂げないと。急ぎ資料の準備をし、法務局に出かけていたH主事が帰ってくるや否や、クルマを借りて南三陸へと出発する。

まず、Hという施工予定箇所近くの番屋を訪ね、契約講の講長と伺っている方がお見えかどうか、漁業者の方に尋ねると、今日は帰宅されているとのこと。ご自宅を訪問すると、すぐに戻って見える。
事業概要を説明し、道路を通行止めにするにあたり、講長の同意が...と切り出すと、「あ、俺、今年は講長じゃねーんだ、残念(笑)」と。あれっ?昨日役場のG上席主幹に聞いたんですが...
改めて講長の連絡先を教えていただく。高台の見晴らしの良い場所に再建されたご自宅からは、港の様子を見ることが出来る。「まだ船帰ってきてねぇから、午後のがいいんじゃねぇ?」とアドバイスをいただく。
周辺では、防集や国道のバイパス建設工事が進められている。工事の進捗に気をもまれていたので、自分の知っている範囲でお答えする。そして、次の場所へ向かうことに。

漁協の出張所に向かい、所長にお話を伺うことに。事業計画場所にある漁業用の倉庫の設置期間について尋ねる。
震災後、被災した漁業者を支援する制度として、通称「がんばる」と呼ばれる、がんばる漁業復興支援事業が創設され、この地域でもそれを活用している。期間は3年だが、この地区ではそれを待たずに、カキ剥きが終わる12月いっぱいで終了するとのことだった。
その後の対応については、漁業者との話し合いで決定するとのことで、必要であればはめてほしいと伝える。
他にも、この地区では震災で8割の住家が被災し、9割の漁船が使用不能になったと教えてもらう。また、同じ南三陸町内でも、地域ごとに状況が異なっていることも教えてもらった。

引き続き、隣接する直売所を訪ねる。こちらでお勤めの関係者の方と打合せを行う。この方も緊急雇用事業で採用されたが、その事業も今年度いっぱいで終了する。いろいろ総合すると、この地区は、年明けから大きな変化がありそうな気がする。

この地区唯一と思われる食堂、大自然塾で昼食を摂る。工事関係者や大工さん風の方が来店される。大工さんとお店の方の会話が耳に入る。どうやら、大工さんもご自宅が流されてしまったらしい...
塩野菜ラーメン

午前中にお会いできなかった講長に会うために、路側にクルマを止めて電話していると、開いている窓の外から声が聞こえてくる。ちょうど、自分が止まったところの脇に作業場があった。概要説明をし、手続きをお願いしたところ、ご快諾いただく。

志津川に戻り、消防署へ。町道の通行止めについて説明をしていると、視界に車椅子を使われている消防士さんが。ちょうど、四日市の消防士の方から、知人なのでお会いしたら挨拶しておいてほしいと頼まれた方だった。四日市にご講演に来られたそうで、縁とは本当に不思議なものである。
引き続き役場へ。出発直前の建設課のA係長を引き留め、少しだけ打合せ。いろんなことが、なんとなく思っている方向に進みつつある。

すべてのミッションを終え、帰路に着く。昨日波が高かったので、歌津の施工予定箇所を確認に立ち寄る。幸いにも、何事もなかったようだ。
帰庁してしばらくすると、電話がかかってきた。H主事が「三重の方なんですが、名乗られないんです。」と。
恐る恐る代わってみたら、防災部局時代の上司、H地さん!今は退職されて第二のお勤めをされていますが、わざわざ職場の電話番号を調べて掛けてくださったのは嬉しい限り!ベタベタの三重弁まる出しの、尊敬する元上司のお声を聞けて良かった良かった。

その後、三重の同僚Tから、職場に自分あての手紙が届いていると。住所は大船渡の越喜来、差出人は面識のない方、そして所属は前の前の前。うーん、たぶん自分が気仙沼にいるとご存じではない方のような気がする...ちょっと気になるので、未開封で転送してもらうことに。

業務終了後、しんちゃんことO氏と合流し、懇親会。前と違う店に行こうとのことで、南町紫市場の焼き鳥屋へ。
カレーやきとりなる食べ物
いつものように、気仙沼の深い話をする。この街に感じている自分の率直な気持ちについて、コメントをもらう。
「うん、確かにその通りだと思います。」
と。

住田とも、大船渡とも、四日市とも、熊野とも違う違和感。街の中でなんとなく感じているギャップ。この街の未来を考えた時、そのギャップを埋めていかないと、と思う。ただ、今の自分にはいかんともしがたいが...