2013年10月29日火曜日

#277 鼎が浦の無人島

いつもより30分早く起床し、いつもより30分早く出勤する。空は薄い雲で覆われている。

もろもろ準備をしてから、松くい虫被害木調査のアシストをするために合庁を出発する。メンバーは勇者W技師を筆頭に、武闘家のM班長、僧侶のS技査、魔法使いのI主事、戦士のT氏、そして賢者(?)の6名パーティー。
8時40分の大島行フェリーに乗船する。大島からやってきたフェリー亀山からはたくさんの乗客が下船するものの、通勤通学のピークを過ぎているからか、大島行は閑散としていた。
浦の浜に到着後、小田ノ浜漁港に向かい、そこから「第2おおしま丸」に乗り換える。といっても、サッパ船。船長さんが用意してくださったライフジャケットを身に着け、不安定な船に乗り込む。
H船長がお待ち
貝毒によってホタテの出荷が芳しくないといった話を聞きながら、一つ目の調査ポイントである小前見島に向かう。南北300m、東西が100m程度の、クロマツ林で覆われた小さな無人島だ。西の磯場に船が着き、いざ上陸する。
前日に説明を受けていたので、ブリーフィングを済ませてから2班に分かれて調査に向かう。W技師とS技査と自分の3名は、島を反時計回りする。自分とS技査が被害木の確認と胸高直径の測定、ナンバリングを行い、W技師が野帳に記録する。島は尾根を除いて急な斜面で、点在する被害木を追いかけているとかなり辛い。S技査についていけていない...
マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウによる、いわゆる松くい虫による被害は、東北でその北上が食い止められている。宮城や岩手の沿岸部はその防除の最前線である。この島でも継続して防除作業が行われているが、今回も100本を超える被害木が確認された。被害木には穿孔がたくさん開いており、見ていて気分のいいものではない。
再び第二おおしま丸で戻る。隣にある大前見島は殆ど裸地化している。松くい虫による激しい被害なのかと思いきや、津波による被害とのことだった。
龍舞崎でコンビニのおにぎりを食べてから、周辺の調査を行う。調査も終盤に差し掛かったころ、誤って輪尺のパーツを崖下に落としてしまう。ボルダリングのような状況でパーツを無事回収する。
調査を終え両チームが合流し、すっかりRPG気分で「敵が出ないかな~♪」などと冗談を言っていたら、本当にT氏にとっての敵が現れる。「水上さんが余計なこと言うから...」まさにその通り。急ぎクルマに乗り込む。

再びフェリーに乗り、本土に戻る。フェリーの中には郵便局員、NTTの帽子をかぶった人、運送業者の方などなど、世の中の縮図のような状況になっている。この光景も大島架橋が完成した暁には失われてしまうのかと思うと、やむを得ないとはいえ、少し切ない。
帰庁後、いろいろなメールが入り、治山班と打合せをしたり、コンサルと打合せしたり。ここ2週間は密室に引きこもりたい...

業務終了後、こけしで中華飯を食べる。慣れない作業を行ったからか、体はどんよりと重い...