少しだけ暖かい朝を迎える。天気予報では、今日だけ特別に暖かいと報じている。いつものように準備して、いつものように出発する。
朝一、治山班のM技査と電話で打合せ、指示に従ってCADと熾烈なバトルを繰り広げる。目的を達成するために余分な操作を行っているような気もするが、それでも意図するような絵が描けるようになってきた。レベルが2から3にあがった気がする。
12時にI主事とH技査とともに南三陸へ向かう。途中、最知にある「手もみラーメン」で昼食となる。今日は北海道への憧憬を具現化し、「旭川みそラーメン」にする。リーズナブルではあるが...
車載の温度計は10℃を指している。暖かいに越したことはないのだが、明日から天候が急変するとのことなので、手放しで喜べない。
南三陸町役場で自分とI主事は下車、H技査はそのまま志津川の現場に向かう。
建設課でお世話になっている方々に年始のごあいさつをし、2階の会議室で打合せを行う。
戸倉のHという施工予定現場に関する関係者が集まった。県管理国道、防潮堤、環境省施設、町管理河川と町道と事業の調整を行う。
それぞれの事業が急ぎ施工を進めるべきなのだが、制度上の理由や手続きに時間を要するなどで、時期にギャップが生じる。また、別途進められている防集事業の造成が完成する時期に合わせて、道路は開通している必要があることから、道路を優先した調整となる。
本吉の南三陸支所でI主事の用務を済ませ、合庁に戻ったころには既に真っ暗になっていた。
合庁は多くの仮設住宅と同様、鉄製の柱がむき出しとなったプレハブ造りである。不精ゆえに、きちんと閉められなかった引き戸からは容赦なく隙間風が流れ込み、薄い外壁のせいなのか分からないが、庁舎の端部に行くと明らかに温度が低い。執務室では底冷えが激しく、ひざ掛けの代わりにフリースの上着を足に巻きつけている。
今、この地方で最優先に取り組むべき事業は、住居の整備であろう。仮設と常設の建物では寒さが違いすぎる。仮設住宅に住まう方々は、プチプチを壁に張るなどの努力をされているが、1日も早くその苦労から解放されることを願う。
会議でもらった環境省の報告書の地図を見ていたところ、前から気になっていた石巻市北上町の十三浜という地名が目に入る。ふと覗き込んできたS技術次長が、地図の地名を数えはじめる。十三浜という名前は、浜が13あることから名づけられたと教えられる。一つ賢くなった。
いつの間にか職場は自分だけになっていた。帰路、コンビニで夕食を調達する。
明日は全国的に寒いとの天気予報を改めて聞くと、ちょっとだけ憂鬱になる。