すっきりと晴れ渡り、爽快な朝を迎える。むしろ、汗ばむくらいの陽気になりそうな感じがしている。2号機で心臓破りの坂を上りきるころには、ポロシャツがしっとりとしていた。今日に至るまで、夏日が数えるくらいしかない。
今日は治山・林道施設の獣害対策現地検討会に参加するため、T氏、獣害担当のS主事と石巻に向かう。出発準備をし、速やかに発つ。オーソドックスに本吉から内陸に入り、登米東和ICから三陸道へ。しかし、十分な時間を見たにもかかわらず、時間がどんどんきつくなる。
T氏が持参してくれた、iPadに良く似た外観の7,000円の中国製ナビ、略して「チャイナビ」を作動させる。「あ、通り過ぎてる...」。石巻河南ICで下り市街地を抜けるが、既に間に合わない時間帯に突入していた。S主事に連絡を取ってもらい、じれったい思いをしながら集合場所へ向かう。
集合場所はランドマークがあるわけではないので、いったん通過してしまうも、引き返して林道に入る。県道から移管された道路なので、2車線の立派なものだが、ところどころ路肩が崩れており、あまり端に寄らないように神経を使う。
現地には森林管理署や資材メーカーのクルマが止まっており、急ぎ会場へ。既に説明が始まっていた。東部のA技術主幹とA技師が担当している。
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腕カバーがとてもよく似合うA技術主幹 |
平成23年度の予防治山工事の現場で、谷止工3基と改植が行われており、改植現場の獣害対策を見ることに。ヘキサチューブを使用した箇所と、間伐材を活用した防鹿柵で囲った箇所を比較することが出来る。
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ヘキサチューブ |
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間伐材を活用した防鹿柵 |
熊野にいたころは、獣害防護柵といえば既製品を利用することが多かったので、こういったタイプは新鮮だ。
そして、T氏とともに興味の対象は谷止工へ。久々にみる「山」の治山施工地に気がはやる。比較的小型の谷止工が3基という構成が気になり、T氏とともに「ここに袖が突っ込めるから、やはりここは、この場所に大きめの1基を…」と意見が一致する。確認を忘れてしまったが、近い将来国立公園に編入される予定の県立公園内で、観光を売りにしている場所でもあるので、極力構造物が目につかないようにしている可能性がある。
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5型 |
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木製の水叩き |
辺りを飛び回って写真を撮りまくっているK技師は、近々類似の型枠を採用する現場があるとのことで、入念にチェックしている。するとT氏が施工方法について指導を始める。さすが林野公共のエキスパート!
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残存型枠 |
引き続き、女川の街を抜け、林道女川京ヶ森線へ。厚層基材の吹付を実施した斜面対策として、「平面防鹿柵」の設置が予定されている。A技術主幹によると、近隣のコバルトライン沿線で、落石対策のため、吹き付けた厚層基材の上にネットを張った現場を見たところ、意図せず非常に良好な植生が得られたので、ぜひ林道でも実践してみたいとのことだった。
平面防鹿柵についても、シカの跳躍高などを考慮して施工範囲(周囲から2m)を決定する。また、不安定な足元を嫌うシカの特性から、金網設置時にアンカーピンにスプリングを取り付ける実験も行っている。
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施工予定地 |
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忌避剤(ウルフピー)も使用したが... |
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平面防鹿柵で侵入が阻まれるシカ |
見学終了後、A技術主幹が「この先も見に来ない?」と誘ってくださり、シート張りの斜面を見学する。
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風化防止に貼られたシート |
「こういった場合、どうする?」と訊ねられる。思わず、モルタル吹きます!と答えてしまう。経験の浅さが露呈した...。A技術主査は、木本類の根がかえって悪さをする場合があり、緑化することがすべてではないと教えてくださった。また、こういったシートでも20年程度耐久すると。
現場を後にし、若干遅めの昼ごはんとなる。女川の大規模仮設商店街「きぼうのかね商店街」へ。三秀という店で、人気NO.1メニューの五目焼きそばを食べる。
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木造の仮設商店街 |
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美味 |
食事を終えるころ、元気のいいK技師が入ってきた。「前を走っているのを見て、『あ、道間違えてる。かわいそう...』って思ってたんですが。」と。残念、こちらは1年前に神輿担ぎのボランティアで街中を歩いているので、場所は大体わかっているんだよね~
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今までで最もつらかったボランティア... |
引き続き、コバルトラインに向かい、獣害対策のヒントとなった場所へ。
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植生が見られる手前と裸地化の激しい奥 |
牡鹿半島と、鹿と名の付くだけあって、かなりシカの頭数も多そうで、実際に食害も激しい。他部署の現場でも、目的が違っても得られるヒントを生かせるように、モノを見る目を養わないと...
コバルトラインを抜け、引き続き十八成(くぐなり)浜へ。L1防潮堤の施工が予定されており、何かしらのヒントになればと...4月に来たときはそういった情報を持ち合わせていなかったので、すぐそばまで来ていたにもかかわらずスルーしてしまったが...
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マツがかなり残存している。 |
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防災林と防潮堤と消波ブロック、そして驚異の透明度 |
帰路、石巻合庁に立ち寄り、高知から派遣されているO氏の元へ。 1年半前に三重から派遣されていた同僚の元を訪ねて以来。
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県内最古の合庁。5階建て、しかしEVなし。 |
最近ご無沙汰していたが、O氏は元気そうで何よりだった。便りがないのは良い知らせ。事業の進捗状況や課題など意見交換し、内陸地震の現場視察などをしようと約束する。
帰りは三陸道を使わず、45号線を下ることに。夕方は交通量も多くなるので、むしろこちらの方が早いかもしれない。
業務終了後、大型ショッピングセンターで火曜特売の寿司を買う。梅雨前線が押し上げられているので、穏やかな天気も今日限り...